著者
竹本 統夫 浅見 和希
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>日本と比べ広い範囲で降雪が観測できるスウェーデンでは、春になると融雪によって河川の流量が大幅に増加し、時には水害を引き起こす。この融雪出水はヴォールフロードと呼ばれ、スウェーデンを代表する自然災害の一つに数えられている。しかし近年では、その発生傾向に変化が見られる。特に南部では冬季の積雪が減り、発生規模の縮小が著しい。北部を流れるカリクスエルヴェンと南部のエムオーンの二つの河川の流量とその周辺の気象データの1961年~2013年の推移を調査したところ、北と南の両方で気温が上昇傾向にあり、北部で融雪次期が2週間から1ヶ月ほど早まっている一方で、南部では冬季の積雪または降雨が短時間で流出し、融雪出水の規模が小さくなる傾向にあることが明らかとなった。また南部では、夏に集中豪雨が増え年間の流量のピークが春から夏に移動する傾向も見られた。</b>