著者
武部 匡也 栗林 千聡 荒井 弘和 飯田 麻紗子 上田 紗津貴 竹森 啓子 佐藤 寛
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-11, 2022-10-05 (Released:2022-10-14)
参考文献数
23

はじめに:大学生アスリートにおける摂食障害の有病率を推定することを目的とした。対象と方法:体育系部活動に所属する大学生442名を対象に,EDDS-DSM-5 version日本語版を用いて有病率を算出した。結果:何らかの摂食障害の診断に該当した者の比率は,全体で7.0%(男性で3.9%,女性で12.3%)となった。競技種目別では,男性が格技系(13.3%),球技系(3.5%),標的系(3.4%)の順で,女性では審美系(17.4%),標的系(14.3%),記録系(10.0%)の順で有病率が高かった。考察:本研究の意義は,本邦における男性アスリートの有病率を明らかにした点,リスクが高い競技種目を明らかにした点にある。結語:本研究は,本邦の大学生アスリートにおいて,男女ともに一定数の摂食障害を抱えている可能性のある者が存在すること,そしてリスクの高い競技種目の特性を踏まえた支援の必要性を示唆した。
著者
竹森 啓子 下津 咲絵 佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.163-171, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
27

本研究は教員のメンタルヘルスリテラシー(MHL)と児童のサポート知覚、抑うつ、不安の関連を検討することを目的とした。14名の教員とその担任学級の児童425名を対象に質問紙調査を実施した。その結果、教員のMHLと児童のサポート知覚は相関関係にはないことが示された。また、階層線形モデリングの結果、児童の抑うつ症状の抑制には教員からのサポートを学級全体が知覚することと、児童個人が知覚することの両方が有効であるであることが示された。一方で児童の不安症状の抑制には児童個人がサポートを知覚することのみが有効であった。さらに教員が対処法に関するMHLが高いことが児童の不安が抑制されることが明らかになった。以上の結果を踏まえて、教員対象のMHL教育の在り方を議論した。
著者
仲嶺 実甫子 竹森 啓子 佐藤 寛
出版者
関西大学大学院心理学研究科
雑誌
関西大学心理学研究 (ISSN:21850070)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-19, 2018-03

The purpose of this study was to examine the effect of self-compassion on help-seeking and stress response. Six-hundred seventeen junior high school students (315 men and 302 women) participated. Results suggested that high "positive attitude" and "fear and disinclination" forhelp-seeking associated with stress response. These results indicated that increasing positive attitude for help-seeking would not be able to lead improved mental health, but decreasing fear and disinclination for help-seeking would improve it. Self-compassion has negative impact for fear and disinclination for help-seeking, but doesn't increasing positive attitude for help-seeking. increasing self-compassion will elicit adaptive help-seeking for improving mental health.本研究ではセルフ・コンパッションと被援助志向性およびストレス反応の関連について,中学生617名(男性315名,女性302名)を対象とする質問紙調査によって検討した。その結果,被援助志向性のうち他者に援助を求めることに対する抵抗感・期待感のどちらもストレス反応に促進的な影響をあたえることが示された。つまり,他者に援助を求めることに対する期待感を高めるだけでは精神的健康の向上にはつながらず,抵抗感を低減させることが精神的健康の改善を促すと考えられる。セルフ・コンパッションは他者に援助を求めることに対する抵抗感に抑制的に働くが,期待感には促進的に働かないことが示唆されており,セルフ・コンパッションを向上させることは,精神的健康を改善するうえで適応的な援助要請につながると考えられる。