著者
木村 拓 廣瀬 和紀 國松 勇介 谷 望未 佐藤 いずみ 小倉 由莉 瀬野 真文 竹田 隆之
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.90-97, 2020-12

症例は、76歳女性。咳嗽、労作時呼吸困難で近医受診、上気道炎として加療後、低酸素血症をきたし京都第二赤十字病院呼吸器内科へ紹介された。胸部CTで胸膜直下、気管支血管束周囲に広範なconsolidation、すりガラス影を認めた。筋症状を伴わず、特徴的な皮疹を認め、臨床的無筋症性皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎と診断した。入院後ステロイド、シクロスポリンで加療したが改善なく、第8病日に抗MDA5抗体陽性が判明し、シクロフォスファミドパルス療法、第14病日から血漿交換療法を併用したが改善なく、第29病日に永眠された。本症例は入院時に重度の呼吸不全を認め、入院直後から集学的治療を行っても救命は困難と考えられた。しかし、呼吸不全が軽度で画像上の肺障害が少ない症例で集学的治療の有効性を示す報告もあり、本疾患が疑われる軽症例では抗MDA5抗体の結果を待たずに集学的治療の検討が必要と考えられた。
著者
谷村 恵子 山田 忠明 千原 佑介 久保田 豊 塩津 伸介 竹田 隆之 山田 崇央 平沼 修 内野 順治 髙山 浩一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.128-136, 2019-04-20 (Released:2019-05-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

背景.進行非小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は標準治療のひとつであるが,稀に重篤な免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)が出現する.一方,irAEを発症した症例ではICIの良好な治療成績を示すことが報告されている.研究計画.2016年1月から2017年12月まで国内6施設でICI治療を行った非小細胞肺がん146例を対象に,irAEと治療効果との関連について後方視的に調査した.結果.irAE発症例は58例(39.7%),irAE発症群,非発症群の無増悪生存期間中央値はそれぞれ4.9ヶ月,2.1ヶ月(p=0.0178)と発症群で有意に延長した.奏効率や病勢制御率は,irAE発症群で有意に良好であった.irAE発症群では,全生存期間は有意に延長した.ICI開始後42日以降にirAEを発症した群は,より早期に発症した群と比較して無増悪生存期間および全生存期間が良好であった.結論.ICIによるirAE発症は治療効果や予後と関連するが,その発症時期が重要である.