著者
笠岡 成光 田中 栄治 阪田 祐作 内藤 龍之介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.12, pp.2267-2274, 1987-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

フェノール樹脂系繊維状活性炭(ACF)の細孔特性ならびに分子ふるい吸着特性を明らかにし,種々の吸着質分子に適応するACFの至適な製造法確立の資とするために,重合度の大きく異なる(平均分子量:106~90万)8種のポリエチレングリコール(PEG)'の水溶液における吸着等温線(25℃)を測定した。ACFは賦活度の異なる9種を用い,また比較のために5種のヤシ殻系粒状活性炭(ACG)にっいても同様に検討した。ACFは,約4nm径以下のミクロ孔領域にのみ先鋭な単峰型細孔分布をもち,ACGは,ミクロ孔以外にトランジショナル孔およびマクロ轟の幅広い分布をもっている。これらの活性炭への特殊な分子構造をとりうるPEGの水溶液での吸着を試み,,各PEGの分子量と吸着可能な活性炭の細孔径との関係を検討し,分子ふるい吸着効果の顕著に現われる臨界細孔径(最小細孔径)と臨界賦活収率を評価した。得られたおもな結果おまび知見は,つぎのとおりである。,(1)PEGの活性炭への吸着は,ACGに対しても約4nm径以下のミクロ孔に対してのみ起こり,吸着形態は直鎖らせん状の結晶に近いと推定される。(2)活性炭に吸着されうるPEGの臨界分子寸法は,その短軸径によって決まり,約0.4nmである。また,'PEGの吸着可能な活性炭の臨界細孔径は分子量に無関係に約1.8nmである。
著者
笠岡 成光 妻木 尚武 喜多村 常功
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1973, no.5, pp.1052-1056, 1973

窒素酸化物の接触還元による浄化プロセスの開発の資とするために,それぞれ50m◎1%酸化物組成の5種の二成分系共沈触媒とGirdler触媒, G 22(バリウムクロム酸銅)による酸化窒素と13種の炭化水素との反応性(NO+rztiSnm. CmHn nym-SN2+ 4-iiSltlftil-n CO2+-4sf Fi.rH20)を,常職法(反応管内径: 12.,O,mm)によって検討した◇触媒は,平均粒径1.Ommの酸化物1,0009を550℃で1時間,水素還元したのち,270~550。C,500,Ncm3(1%NO-0.09~1。2%CmHn-残りN,) minで操作した。その結果,まず,NOとベンゼンの反応に対する触媒の見かけの活性序列としてはCuO-A1208(Cu-A120s)> Fe20slCr20s(Fe-Cr203)> CuO-Cr203(Cu-Cr203)> Co30rA120s(Co-A1203)> Fe203-Al,O,(Fe-A1203)>G22が得られた。つぎにもつとも活性の高いCuO-A1203触媒上のNOに対する炭化水素類の見かけの反応性序列として,アルキルベンゼン類(トルエン,エチルベンゼン,オルト,メタ,パラキシレン,1,2, 4-, 1, 3, 5-トリメチルベンゼン)>ベンゼン>エチレン>π-オクタン>イソオクタン>n-ヘキサン>メタンが得られ,AultらのG22触媒によるアセチレンなど9種の炭化水素に対するデータとあわせて検討考察し,アルキルベンゼン類以外の同族系炭化水素間では,炭素数の多いものほど反応性は大きく,また,炭素数の同じ異族系炭化水素間では,アセチレン系>オレフィン系>芳香族系>パラフィン系の順に飽和度の高いものほど反応性が小さくなることを示唆した。なお,炭化水素の反応性は,低温域では一酸化炭素とくらべて,きわめて劣勢であるが,高温域にいくにしたがい逆に優勢になっていくことなどを,かなり定量的に示した。