- 著者
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笹山 啓
- 出版者
- 東京外国語大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-25
2015年度はまず、7月4日東京外国語大学において開催されたスラヴ人文学会で、「60年代ソ連の地下文化と現代ロシアの『新しい言葉』」と題した発表を行った。これはソ連の神秘主義・実存主義的な傾向を持つ地下文化と現代ロシアにおける「ネオ・ユーラシア主義」のようなあらたなナショナリズム的イデオロギーの関係を扱うものであった。8月には、幕張メッセおよび神田外国語大学にて3~8日にかけて開催された国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)第9回世界大会に参加し、7日のパネルにてPelevin and ‘Counter-Culture’ in the Soviet Union(内容ロシア語)と題した発表を行った。これは従来注目されてこなかった、現代ロシアのポストモダン作家ヴィクトル・ペレーヴィンと、ソ連時代の非公式文化、とりわけ作家ユーリー・マムレーエフのインド哲学を下敷きにした思想との関係を論じたものである。この発表をまとめたプロシーディング集が東京外国語大学ロシア文学研究室より今年に入り発行され、そこでПелевин и 'контркультура' в Советском Союзеと題名をロシア語に改め、引用・註などの手直しをくわえた論考を発表した。11月8日、埼玉大学で開催された日本ロシア文学会全国大会にて「ペレーヴィンはなにから目覚めるのか」と題する発表を行った。これはペレーヴィンの初期作品に頻出する「夢」というモチーフを手がかりに、現在までペレーヴィンが一貫して描き続けている現実の虚構性というテーマの政治性を明らかにすることを試みた。2月には北海道大学・スラヴ・ユーラシア研究センターにて研究会での発表と資料収集を行った。