著者
斉藤 飛翔 笹川 和彦 森脇 健司 藤崎 和弘
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S143_2, 2019

<p>血管内治療において,カテーテル挿入手技は医師の経験や指先の感覚に大きく依存し,その感覚を他人に正確に伝えることは難しい.その感覚を提示するため,カテーテルに作用する力を計測するシステムが開発されているが,装置が大掛かりである.また,挿入手技時にカテーテル先端と血管壁の衝突等によって術者が指先で感じる力覚を直接的に計測するものではないことから,手技の可視化を目的とした指先の力覚計測と動作解析を同時に行うシステムの開発要求が強い.本研究では,指先に接着可能なフィルム型3軸応力センサを作製し,指先の応力計測とモーションキャプチャを使った動作解析が可能なカテーテル手技可視化システムの開発を行い,血管モデルにこれを適用して術者の指先の応力計測と動作解析の有効性を検討した.カテーテルが血管壁に衝突しないときと比較し,衝突したときの方が指先の進行方向におけるせん断応力が大きく,また,ねじり動作に応じたねじり方向のせん断応力も計測できた.よって,カテーテルの前進・後退・ねじりの動作に対応した指先の接触応力を検出でき,カテーテル手技可視化の手段として本システムの有用性を示した.</p>
著者
齊藤 飛翔 笹川 和彦 森脇 健司 藤崎 和弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
M&M材料力学カンファレンス
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

<p>Catheter insertion is a sensitive operation largely depending on tactile senses of the doctor. Although several kinds of force measurement systems attached in the catheter have been proposed, the measurement of the force during operation should be measured at the finger for evaluation of the tactile senses. In this study, we developed a film type tri-axial stress sensor that can be attached to the fingertip. An electro-conductive polymer in polythiophene series was used for the pressure sensitive layer. The conductive polymer material has a characteristic that the electric resistance in the thickness direction decreases under the compression. This type sensor is thin and flexible therefore it can be expected to directly measure the contact stress at the fingertip. In this experiment, the contact stress is measured under during catheter guide wire insertion motion. The contact stress vector including vertical and the plane directional components were detected at the gripping area of the wire. The motion trajectory of the finger in the catheter insertion was analyzed in a motion capture system. As a result, changes of the contact stress according to forward, backward, and rotation in the catheter operations were observed during insertion tests. It is possible to evaluate the catheter operation by means of the tactile sensing. Also, this measurement system can be applied not only to evaluate the skill of catheter operation but also to use for training the operation.</p>
著者
笹川 和彦 坂 真澄
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

得られた成果を以下にまとめて示す。1.折れ曲がり/テーパ付き形状の配線を想定し,損傷予測を行った。形状の異なる配線の各々でEM損傷のしきい電流密度を予測した。折れ曲がった配線のしきい電流密度の方が直線形状のそれよりも大きいことがわかった。2.上記1の形状の試験片を用いて通電実験を行い,予測結果から得た配線構造・形状によるEM損傷への依存性を確認するとともに,予測法の妥当性を示した。3.配線長が一定の下で折れ曲がり位置やテーパ方向を変化させることにより,配線構造・形状と損傷予測パラメータとの関連性を抽出した。配線内のマクロな電流密度分布が配線の許容電流に影響を及ぼすことがわかった。これより,配線構造・形状に関する長寿命化の設計指針を獲得した。4.Al積層配線に対しTEOSあるいはポリイミドの保護膜材料を組み合わせた配線を想定し,EM損傷予測を行った。同じ保護膜厚さに対してポリイミド保護膜配線の方が長寿命となる結果を得た。5.上記4の試験片を作製し加速通電実験を実施した。予測結果の十分な検証に至らなかったが,意図したとおりの損傷が発生し予測結果の傾向を確認した。6.Al配線に対しTEOS,ポリイミド,SiNを保護膜とした組み合わせ配線を作製し,ナノ押し込み試験を実施した。弾性率はSiN,TEOS,かなり離れてポリイミドの順に小さくなった。またこの順に付着強度が大きいことが示唆された。7.ナノ押し込み試験より得た機械的特性を損傷予測パラメータであるEM特性定数と比較検討した。配線の長寿命化には,弾性率が小さく配線との付着強度が大きい保護膜との組み合わせが有効であることが示唆され,これらの関連性から保護膜の材料・厚さに関する長寿命化の設計指針を獲得した。今後,保護膜機械的特性と予測パラメータ「有効体積弾性率」との関連性も考慮して,より総合的に長寿命化への検討を行う予定である。