著者
笹川 智貴 岩崎 寛
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.51-56, 2016-01-15 (Released:2016-02-12)
参考文献数
20

神経筋接合部には多数のニコチン性アセチルコリン受容体が存在し,神経終末から放出されたアセチルコリンが受容体に結合することにより脱分極され筋肉は収縮を起こす.アセチルコリンが受容体に結合すると受容体は回転運動によりダイナミックにチャネル開閉を調節する.通常終板に存在するアセチルコリン受容体は成熟型と呼ばれ,α2βεδの5つのサブユニットで構成される.また,シナプス前にはα3β2で構成される神経型アセチルコリン受容体が存在し正のフィードバックを介してシナプス小胞の再動員に寄与している.一方,胎生期の筋肉や除神経された筋肉上ではεサブユニットがγサブユニットに置換されたα2βγδのサブユニットで構成される未成熟型が発現し,特にスキサメトニウムへの反応性の違いから臨床上問題となることが多い.また近年では,従来中枢神経にしか存在しないと考えられてきたα7サブユニットのみで構成されるα7アセチルコリン受容体が特殊状態下の筋肉に存在する可能性が示唆されており,その生理的役割が注目されている.