著者
筒井 正幸 石橋 知也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_287-I_297, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
26

本研究では,1962-65年に都市系の専門家の協力のもと西日本新聞社によって実施された「西日本都市診断」の内容に着目し,診断された21都市のうち9都市を事例に,各都市の診断の要点を整理したうえで,往時の都市診断の議論やその後の都市政策に及ぼした影響について考察することを目的とする.その結果,1960年代の計画にかかわる議論における西日本都市診断の位置づけとして全総や総合計画における論点を補完する役割を担ったこと,都市診断が「広域的視野」「多層スケールにおける各市の位置づけ」の2つの特徴を有すること,を指摘した.診断委員と総合計画審議委員の重複や内容の類似点等についての分析から往時の新聞という媒体のもつ都市政策への影響を指摘した.都市診断が総合計画を策定するための「参考資料」の役割を担ったことも指摘した.