著者
石橋 知也 田中 成龍
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_495-I_505, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
18

長崎市の斜面市街地は都市基盤の整備の遅れや人口減少など多くの問題が指摘されている.一方,斜面地特有の夜景は長崎の景観資源として位置づけられるなど,今後の長崎市において斜面への対応は重要な課題であろう.そこで本研究では,これまでに策定されてきた一次から四次までの総合計画に着目し,長崎市の斜面に対する捉え方の変遷を整理することを通じて,地形的特徴が総合計画の記述に与えた影響について考察することを目的とする.具体的には,各計画内の斜面に関する記述を全て抽出したうえで,記述の定量的な分析ならびに年代ごとの記述内容の変遷について分析を行った.その結果,長崎市の斜面の記述を構造化でき,斜面の捉え方の変遷から長崎市の総合計画を3つの時期に分けることができた.
著者
石橋 知也 松田 知己 東郷 浩樹 柴田 久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_273-II_284, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
18

石積みは,伝統的・文化的な風景を構成する重要な要素であるものの,被災した石積みの復旧方針・方法は自治体によってばらつきがあり,箇所ごとの対処にならざるを得ない状況にある.本研究は,平成24年九州北部豪雨によって被災した農村地区を有する自治体(うきは市,久留米市,八女市,伊万里市,武雄市,諫早市,大村市)での石積みの復旧実態,重要文化的景観を有する自治体(豊前市,唐津市,長崎市,平戸市,小値賀町)における被災した石積みの復旧実態,について職員へのヒアリング調査と現地調査から明らかにすることを目的とする.その結果,1)石積み復旧を促進する基準の見直し,2)石積み復旧に対する制度運用の有効性と課題,3)重要文化的景観における空石積み復旧の実態,4)重要文化的景観をめぐる課題への対応策,について指摘した.
著者
木下 広章 柴田 久 石橋 知也 雨宮 護 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.350-356, 2016

本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
著者
木下 広章 柴田 久 石橋 知也 雨宮 護 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.350-356, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
8

本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
著者
石橋 知也 柴田 久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-15, 2014 (Released:2014-01-20)
参考文献数
147
被引用文献数
1

本研究は福岡市の都市形成に影響を与えたと考えられる1960年代に発表された施策(第一次・第二次福岡市総合計画)の変遷と当時の議論を整理しながら,都市戦略のあり方について考察することを目的とする.ここでは1958~1966年の福岡市議会での議論,1962年の西日本都市診断の新聞記事等を言説分析の対象とした.その結果,都市診断結果,政令指定都市北九州の誕生,大規模地方開発の指定が往時の都市戦略の方向性を決定付けるエポックとして抽出された.これより都市戦略のあり方における要点は,1)客観的な診断分析は都市発展の方向を決定付けることに寄与すること,2)都市の競争相手となる他者を認識することでその比較から都市の特徴を見出し得ること,3)第三者からの都市の性格付けによって相対的な位置付けが明確化されること,を指摘した.
著者
筒井 正幸 石橋 知也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_287-I_297, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
26

本研究では,1962-65年に都市系の専門家の協力のもと西日本新聞社によって実施された「西日本都市診断」の内容に着目し,診断された21都市のうち9都市を事例に,各都市の診断の要点を整理したうえで,往時の都市診断の議論やその後の都市政策に及ぼした影響について考察することを目的とする.その結果,1960年代の計画にかかわる議論における西日本都市診断の位置づけとして全総や総合計画における論点を補完する役割を担ったこと,都市診断が「広域的視野」「多層スケールにおける各市の位置づけ」の2つの特徴を有すること,を指摘した.診断委員と総合計画審議委員の重複や内容の類似点等についての分析から往時の新聞という媒体のもつ都市政策への影響を指摘した.都市診断が総合計画を策定するための「参考資料」の役割を担ったことも指摘した.