著者
平澤 恭子 篁 倫子 竹下 暁子 吉川 陽子 大澤 真木子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.E137-E143, 2013-01-31

新生児医療はめざましい進歩を遂げ障害児の発生も減少傾向にある一方で軽度発達障害などの患児が多いのではないかとされている。,そこで我々は当院出生の極低出生体重児の6歳時の発達について詳細な検討を行い、どのような支援が適切なのかについて検討した。対象は2002 年4月から2006年3月までに東京女子医科大学母子総合センターNICUにて出生した6歳児であり、健診の方法は ハイリスク児フォローアップ研究会のプロトコールに基づき神経学的診察,Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition(WISCIII)を使った知能検査を行い、それらについて検討した。,Soft neurological sign を認める児が多く、またWISCIIIによる知能指数(IQ)は出生時在胎週数や体重と正の相関を示し、超早産児や超低出生体重児では注意深い観察が必要であると思われた。またIQの軽度低下や言語性知能指数(VIQ)/動作性知能指数(PIQ)のアンバランスや群指数間のばらつきなどを認め、これらの児では行動面の問題も抱える傾向を認めた。視覚的な情報の処理が苦手である傾向もあり、このような児への指導にはこの点に留意する必要が示唆された。 またこの6歳時点ですでに注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)の特性を示している児もおり、治療介入の必要性も考慮された。極低出生体重児のフォローアップでは軽度発達障害を念頭に置きより長期に詳細に経過をみるとともにそれらの児への支援が必要である。