著者
海津 亜希子 玉木 宗久
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究においてはいくつかの下位研究を設定したが中でも本研究の根幹でもある地域協働支援の実現に関しては多大なる成果があげられた。具体的には地域として多層指導モデルMIMの理解・啓発を図りたいとの応募のあった地域を対象にMIM理解・実践セミナーを研究期間中,北海道,宮城,栃木,東京(計2回),山口(計2回),福岡(計3回)で実施することができ,計2,000名以上の参加があり,90%以上の最も高い評価(「有益であった」)が得られた。あわせて教育行政担当者を対象としたMIMサミットは,3年間毎年度実施し,のべ97地域からの参加があり,参加者の95%以上が最も高い評価(「有益であった」)をした。
著者
徳永 亜希雄
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、特別支援教育におけるICF(国際生活機能分類)及びICF-CY(同児童版、但し、タイトルは申請時の筆者仮訳の「児童青年期版」を使用)活用のための研修パッケージとして、(1)ICF及びICF-CYに関する基本的な知識と活用動向等に関する講義形式パッケージ、及び(2)ICF及びICF-CYの概念図を模した図(以下、「ICF関連図」)作成を通した子どもの実態整理と指導・支援の検討を行う演習形式パッケージについてそれぞれ開発・実証を行うことを通して、研修パッケージの在り方について検討した。本研究を通して以下の点が明らかになった。(1)研修パッケージの使いやすさ等は、ICFを既に知っていたかどうかに左右され、ICFを既に知っている人ほど分類項目を用いたコーディングを難しいと感じる傾向にあり、そのことはICF及びICF-CYの概念的枠組みを用いた取組がこれまで中心的であったことが背景として考えられること。(2)子どもの理解と指導・支援の検討のために「ICF関連図」作成演習が有効であり、「ICF関連図」作成演習では、仮想事例だけでなく、実際事例に取り組んだほうが作成手順の分かりやすさや具体的な作成作業の分かりやすさ等が増し、より実際の活用に寄与できると考えられること。(3)ICF及びICF-CY活用が寄与できる特別支援教育での課題について検討し、特別支援教育という文脈での活用という観点からの知見について研修内容として盛り込む必要があること。(4)参加者のICF及びICF-CYへの認知度やニーズに合わせた複数のパッケージを開発する必要があること。(5)活用にあたっては、ICF及びICF-CY並びにその活用に関する知識について幅広い理解啓発が必要であること。そのための手立てとして、主にICF 及びICF-CY についてほとんど知らない人たち向けの「よくある質問と答え(FAQ)」のような基礎的な内容を知らせるもの必要性と、活用経験者向けの事例検討を交えた研修内容の必要性があること。前者に対応して作成したものは当研究所のWebサイトにアップし、後者に対応したものは「ICF関連図」作成手順として整理し、当研究所の研修事業等で活した。(6)本研究期間では開発に至らなかったが、i)自主研修を支援するWebツール、ii)研修、特に演習のコーディネートの仕方についての検討の必要性が考えられること。
著者
笹本 健 西牧 謙吾 徳永 亜希雄 玉木 宗久
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

特に周囲の人々から重度・重複障害児・者といわれ、さまざまな障害があり、知的にも低いと思われている人の中に、かなりの割合で通常に近い知的能力と文字表現能力を有している人が存在する可能性が示唆された。また、そのような人々に対する表出援助(STA)法の有効性について脳科学的な実証(測定)の基盤を築くことができたと同時に、実際的な文字表現の支援の方法について、事例を通して明らかにすることができた。
著者
牧野 泰美
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、吃音のある子どものレジリエンス(精神的な回復力、立ち直る力)とその向上に関する知見として、レジリエンスは、人間関係、主体性、ユーモア、創造性、コミュニケーション等により構築されること、吃音問題との関連としては、折り合い、仲間、客観視、気持ちの解放、笑い、感情の対処、他者信頼等が重要な要素であること、子ども自身が吃音を対象化できること等の重要性が整理された。上記の観点を踏まえた指導・支援として、子どもと教師が対等に対話を進め、吃音について語ることができる実践内容・方法を検討・提案した。
著者
田中 良広 澤田 真弓
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、読字実験により弱視者の最小可読文字サイズが清音文字に比べ濁音・半濁音文字の方が3ポイント程度大きいことを明らかにした。この実験結果に基づき、濁点・半濁点部分を2倍程度(面積比4倍程度)大きくした弱視用フォントを試作した。試作した弱視用フォントの有用性を検証するための単語読みの比較実験では、初期実験の正答率を大きく上回った。このことにより、試作した弱視用フォントの有用性が確かめられた。