著者
篠 力 伊藤 信一
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.309-318, 1979 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

非炎症性疾患の正常部位に2, 3の界面活性剤を生検, 切除前にclosed patch testを行い, 組織学的観察を行った。アニオン活性剤ラウリル硫酸ナトリウムはその強い角層親和性により, 低濃度では表皮, 真皮への影響は少いが, 5%の高濃度では細胞障害がおこる。ポリペプタイドヤシ脂肪酸力リウムは高濃度でも皮膚に影響がない。カチオン活性剤ベンザルコニウムクロライドは強い障害を皮膚にあたえる。非イオン活性剤ポリオキシエチレンラウリルエーテルは表皮細胞の障害は少いが, 真皮の血管に影響があり, その強い滲透性を暗示する。両性活性剤2ウンデシル1-ハイドロキシエチルイミダゾリンベタインは表皮表層に極めて軽度の影響をみるが, 炎症反応は見られなかった。以上反応にニュアンスの違いはあるが, いづれも一次刺激反応のカテゴリーに入るものであった。