著者
篠原 弘樹 坂本 優紀
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.253-266, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本稿は,メキシコ合衆国テキーラにおける観光地の形成プロセスを観光に関わるアクターの取組みと景観整備に着目しながら明らかにした.1990年代後半にツアー会社主導で始まったテキーラの観光は,2000年代に入り行政の観光促進プログラム導入や世界遺産登録,テレビドラマの舞台化などの外的要因を受け観光地としての整備がなされていった.観光地化のプロセスではツアー会社やガイド,蒸留所など観光に関わるアクターが登場し,積極的に観光を促進した.当初,各アクターはテキーラのローカル性を強調する事物や事象を積極的に採用していったが,観光が発展するに従いメキシコを象徴するような対象も利用するようになった.現在は大手蒸留所が大規模な観光施設を建設し,観光客を誘引する主要なアクターとなっている.