著者
中井 靖 青木 勝也 松本 吉弘 篠原 雅岳 影林 頼明 三馬 省二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-986, 2013-11-20

症例:44歳,男性。外尿道口より陰茎陰囊境界部までの尿道腹側をカミソリで鋭的に完全切開され,近医で尿道単純縫合を受けたが,尿道は完全哆開した。以後,無治療であったが,13年後,再婚を転機に尿道再建術を希望して当科を受診した。尿道粘膜は再建に使用可能と判断し,尿道下裂に準じてThiersch法により一期的尿道形成術を施行した。留置カテーテル抜去後,立位排尿が可能となった。外傷性前部尿道損傷の原因として,尿道カテーテルによる損傷や尿道異物による尿道皮膚瘻などの報告はあるが,われわれが調べた限りでは,自験例のように意図的に広範囲に縦切開された尿道に対して尿道形成術を施行した報告はなかった。