著者
中井 靖 青木 勝也 松本 吉弘 篠原 雅岳 影林 頼明 三馬 省二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-986, 2013-11-20

症例:44歳,男性。外尿道口より陰茎陰囊境界部までの尿道腹側をカミソリで鋭的に完全切開され,近医で尿道単純縫合を受けたが,尿道は完全哆開した。以後,無治療であったが,13年後,再婚を転機に尿道再建術を希望して当科を受診した。尿道粘膜は再建に使用可能と判断し,尿道下裂に準じてThiersch法により一期的尿道形成術を施行した。留置カテーテル抜去後,立位排尿が可能となった。外傷性前部尿道損傷の原因として,尿道カテーテルによる損傷や尿道異物による尿道皮膚瘻などの報告はあるが,われわれが調べた限りでは,自験例のように意図的に広範囲に縦切開された尿道に対して尿道形成術を施行した報告はなかった。
著者
青木 勝也 杉多 良文 吉野 薫 谷風 三郎 西島 栄治 津川 力
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1086-1089, 2000

Penaが発表したtotal urogenital mobilizationは総排泄腔長が3.0cm以下の総排泄腔遺残症に対して施行される根治術で, 合併症が少なく, ほぼ正常に近い外観が得られると報告された.今回我々は総排泄腔遺残症の1例に対してtotal urogenital mobilizationを行い満足のいく結果を得たのでその手技を報告する.症例は9カ月女児.posterior sagittal approachにて総排泄腔後面に到達したあと, 総排泄腔より直腸を分離し膣と尿道を一体として受動せしめ会陰部に開口させ, 最後に肛門形成を行った.術後1年が経過して膣狭窄, 排尿障害などの合併症はなく, 外観的に正常に近い状態が得られている.total urogenital mobilizationは総排泄腔遺残症の患児に対して手術時間の短縮, 尿道膣瘻, 膣狭窄などの合併症の軽減が期待でき, 外尿道口と膣口が近接することからより正常に近い外観が得られる優れた手術法であると考えられた.
著者
青木 勝也 杉多 良文 吉野 薫 谷風 三郎 西島 栄治 津川 力
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1086-1089, 2000-12-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6

Penaが発表したtotal urogenital mobilizationは総排泄腔長が3.0cm以下の総排泄腔遺残症に対して施行される根治術で, 合併症が少なく, ほぼ正常に近い外観が得られると報告された.今回我々は総排泄腔遺残症の1例に対してtotal urogenital mobilizationを行い満足のいく結果を得たのでその手技を報告する.症例は9カ月女児.posterior sagittal approachにて総排泄腔後面に到達したあと, 総排泄腔より直腸を分離し膣と尿道を一体として受動せしめ会陰部に開口させ, 最後に肛門形成を行った.術後1年が経過して膣狭窄, 排尿障害などの合併症はなく, 外観的に正常に近い状態が得られている.total urogenital mobilizationは総排泄腔遺残症の患児に対して手術時間の短縮, 尿道膣瘻, 膣狭窄などの合併症の軽減が期待でき, 外尿道口と膣口が近接することからより正常に近い外観が得られる優れた手術法であると考えられた.