著者
篠山 隆司 田中 一寛 長嶋 宏明
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.11-19, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
34

膠芽腫はいまだ生存期間中央値が約2年と悪性脳腫瘍の中で最も予後不良の疾患である. 膠芽腫の治療は大きく分けて手術, 放射線療法, 化学療法の3つに分けられる. 手術に関しては造影部位の全摘出が推奨されるが, 機能予後を十分考慮して摘出する必要がある. また, 化学療法はテモゾロミドとベバシズマブがあるが, ベバシズマブの投与時期, 投与方法についてはまだまだ議論の余地がある. 一方, 放射線治療については高齢者では短期照射が推奨され, 現在日本国内では医師主導試験が行われている. その他, 術中光線力学療法, novo-TTF, ウイルス療法など, 新しい治療法が登場している.
著者
東野 真志 西原 賢在 蘆田 典明 橋本 公夫 石原 美佐 髙原 佳央里 篠山 隆司 甲村 英二 細田 弘吉
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.119-124, 2020 (Released:2020-02-25)
参考文献数
11

神経Sweet病は典型的には皮膚病変の特徴や皮膚生検によって診断されることが多い疾患である. われわれは頭部MRIで, 周囲に浮腫を伴い, 造影される脳実質内斑状病変の1例と, 広範囲のleptomeningeal enhancementを呈した1例を経験した. いずれも皮膚病変を認めず, 脳原発悪性リンパ腫を疑って腫瘍摘出術と生検術を施行した. 両疾患ともにステロイドが著効し, 画像所見も似ることがある. 神経Sweet病はまれな疾患だが, 悪性リンパ腫が疑われる症例では鑑別診断として本疾患や血管炎などの炎症性疾患を挙げ, 疑わしい場合はヒト白血球抗原検査を施行するとよい. また, 手術に際してfluorescenceを用いたところ, 病変同定に有用であり, 併せて報告する.
著者
篠山 隆司 田中 一寛 西原 賢在 長嶋 宏明 甲村 英二
出版者
近畿脳腫瘍病理検討会
雑誌
Neuro-Oncologyの進歩 (ISSN:18800742)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.09-15, 2017-02-08 (Released:2017-02-08)
参考文献数
28

The diagnosis of primary central nervous system lymphoma (PCNSL) is commonly obtained via a stereotactic biopsy. The use of radiographic images (CT, MRI, and PET) frequently fails to distinguish PCNSLs from other brain diseases. Flow-cytometry based and cytological analyses of cerebrospinal fluid (CSF) are useful for the evaluation of leptomeningeal PCNSLs, however, these tests are usually insensitive to focal PCNSLs.Recently, several useful diagnostic biomarkers in CSF for PCNSL were reported. Among these CSF biomarkers, CSF interleukin-10 (IL-10) and C-X-C motif ligand 13 (CXCL13) are the most promising useful diagnostic biomarkers for PCNSLs. Both CSF IL-10 and CXCL13 have high sensitivity and specificity for diagnosing in PCNSL patients, and moreover, the combination IL-10 and CXCL13 is quite highly specific tool for diagnosis of PCNSL. However, there are several problems in these markers. Our goal in this review is to highlight and update the diagnostic biomarkers in CSF for the patients with PCNSLs, and describe future directions.