著者
東野 真志 西原 賢在 蘆田 典明 橋本 公夫 石原 美佐 髙原 佳央里 篠山 隆司 甲村 英二 細田 弘吉
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.119-124, 2020 (Released:2020-02-25)
参考文献数
11

神経Sweet病は典型的には皮膚病変の特徴や皮膚生検によって診断されることが多い疾患である. われわれは頭部MRIで, 周囲に浮腫を伴い, 造影される脳実質内斑状病変の1例と, 広範囲のleptomeningeal enhancementを呈した1例を経験した. いずれも皮膚病変を認めず, 脳原発悪性リンパ腫を疑って腫瘍摘出術と生検術を施行した. 両疾患ともにステロイドが著効し, 画像所見も似ることがある. 神経Sweet病はまれな疾患だが, 悪性リンパ腫が疑われる症例では鑑別診断として本疾患や血管炎などの炎症性疾患を挙げ, 疑わしい場合はヒト白血球抗原検査を施行するとよい. また, 手術に際してfluorescenceを用いたところ, 病変同定に有用であり, 併せて報告する.
著者
伊藤 崇博 橋本 公夫 川北 かおり 小菊 愛 秦 さおり 奥杉 ひとみ 近田 恵里 佐原 裕美子 竹内 康人 片山 和明
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.75-82, 2013

子宮内に胎児と奇胎が併存する場合,多くは部分胞状奇胎であるが,正常胎児と胞状奇胎が併存する胎児共存奇胎の可能性もある.胎児共存奇胎であれば児の生存も期待できるが,生児を得ることができるのは半数以下とされる.今回われわれは,生児を得られた胎児共存奇胎の1例を経験したので報告する.症例は30歳,排卵誘発周期に妊娠成立した.経腟超音波検査にて正常絨毛と奇胎を別々に認め,初診時(妊娠9週)の血中hCG値は349,619 mIU/mlと高値であった.羊水染色体検査は46XXの正常核型であり,血中hCG値も妊娠13週以降は低下傾向にあった.早期より切迫流早産徴候を認め,陣痛抑制困難のため妊娠33週での帝王切開分娩となったが,児の予後は良好であった.奇胎娩出後,免疫組織化学的検査により正常胎児と全胞状奇胎との共存であることが確認された.血中hCG値は順調に低下しており,術後34週を経過したが続発性疾患の発症は認めていない.〔産婦の進歩65(1):75-82,2013(平成25年2月)〕