著者
三原 勇太郎 鈴木 稔 木村 寛子 赤須 玄 濵田 伸哉 篠崎 広嗣
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1801-1806, 2015 (Released:2016-01-30)
参考文献数
30

症例は51歳,男性.全身に広範な刺青を有する患者.直腸癌に対し低位前方切除を施行中,突然の血圧低下,頻脈,顔面紅潮をきたした.アナフィラキシーショックを疑い,手術を中止した.Epinephrine投与などによりバイタル安定し改善を得た.術後検査でラテックスに対する特異的IgE抗体陽性であり,ラテックスアレルギーを考え,ラテックスフリー環境下で再手術を行い,問題なく手術を終了しえた.ラテックスは術中アナフィラキシーの原因の一つであり,文献報告が散見される.一般に,頻回に手術や医療処置を受ける患者に加え,医療従事者や製造業などゴム手袋着用頻度の多い群でリスクが高いとされるが,本症例はラテックスアレルギーのハイリスク群には該当せず,刺青の長期に渡る作成過程でラテックスに感作した可能性を考えた.
著者
秋月 さおり 佐々木 君枝 北島 祐子 梅木 雄二 鳥越 律子 林 真紗美 篠崎 広嗣 鈴木 稔 上野 隆登 神村 彩子 田中 芳明
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.55-65, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
18

L-オルニチンおよびL-グルタミン含有食品摂取による周術期栄養改善およびQOL への影響を検討するための介入試験を行った.消化器癌開腹手術を実施する90 歳以下の男女18 名を試験食品摂取群または非摂取群の2 群に無作為に分け,術前・術後の7 日間ずつにわたり試験食品を摂取させ,栄養関連指標,体組成,QOL について評価した.その結果,両群において手術の侵襲による栄養関連指標,体組成量の低下が観察されたが,試験食品摂取による影響はみられなかった.一方で,QOL アンケートより,身体機能,役割機能,倦怠感,疼痛について,非摂取群でみられたスコアの低下が試験食品摂取群では認められなかった.これらのことから,周術期に一定期間L-オルニチンおよびL-グルタミンを摂取することにより,患者のQOL を良好に保つことができる可能性が示唆された.