著者
佐藤 亮一 篠木 れい子
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

この調査研究は、これまで断片的にしか分かっていない東京語アクセントの古層について詳細な調査・分析を行い、標準語アクセントの基盤としての東京語アクセントの成立のプロセスを明らかにすることを目的とする。まず、代表的な数地点を選定し、高年層を対象に数千語についてアクセント調査を行い、東京の多摩地域を含む関東各地には、東京で滅びてしまった、あるいは消えかけている古いアクセント型を有する単語がどの程度残存しているのか、また、都区内に見られない独特の型をもつ単語がどの程度存在するかを明らかにする。具体的には、柴田武監修、馬瀬良雄・佐藤亮一編『東京語アクセント資料』(1985)で明らかにされている、都区内でアクセント型の世代差の認められる数千語の中から日常的に多用する語、および、都区内と異なるアクセント型の予想される語を抜き出し、さらに、上記以外の単語の中から東京周辺地域に独特の型の存在が予想される語を加え、これらの調査語彙について、群馬県藤岡市、埼玉県秩父市、東京都あきるの市において、高年層および若年層を対象として調査を実施した。調査結果を録音したテープは聴取・記号化し、その一部をコンピュータに入力した。最終年度には、これらの調査結果を整理・分析し、研究成果報告書を作成した。報告書の内容は、これまでの調査結果を、「資料1」(『東京語アクセント資料』の中から選んだ語)および「資料2」(その他東京アクセントの古層を反映していると予想される語、ならびに東京アクセントとは異なるアクセント型の予想される語)として記載し、さらに東京周辺地域のアクセントの古態性について考察を加えたものである。