著者
籠島 恵介
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.S19-S21, 2014 (Released:2014-10-16)
参考文献数
10

セグロカモメ,オオセグロカモメ,カモメ,ウミネコが千葉県銚子漁港の岸壁に付着した「褐色の物質」を摂食しているのを観察した.この物質からは高濃度の鉛が検出され,1960年代に埋立てのため使用された焼却灰に由来する鉛化合物と推定された.この摂食行動は動物が鉛を自発的に食べる異嗜行動の一種と思われる.中毒症状は確認されなかったが,繁殖率や生存率への影響が懸念された.
著者
籠島 恵介
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.S1-S5, 2016 (Released:2016-03-02)
参考文献数
11

沖縄本島において, 南米原産のコガネノウゼン Tabebuia chrysotricha に対するメジロ Zosterops japonicus の吸蜜および盗蜜行動を観察した.メジロは嘴が短く,またホバリングができないため,本来のポリネーターのハチドリとは違って,枝に留まって盗蜜をしていた.メジロは主に萼と花弁の隙間に嘴を入れる盗蜜,および花弁を裂いて行なう盗蜜をしており,後者では送粉が行なわれていると思われる. コガネノウゼンの蜜の糖度は,メジロが良く利用するハイビスカス Hibiscus rosa-sinens およびカンヒザクラ Cerasus campanulata の平均値および最大値を上回っており,食物として大きな価値を持っているように思われた.しかし,本行動は2011年には頻繁に観察されたにも関わらず,2012年,2013年,および2014年には全く観察されなかった.このことは,この植物がメジロの蜜利用を忌避させる可能性のあるフェノール配糖体およびナフトキノンを含んでいるためかもしれない
著者
籠島 恵介
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.S5-S9, 2012 (Released:2012-06-28)
参考文献数
5

沖縄本島3か所において,メジロによるハイビスカスの花への盗蜜被害率を年間記録した.すべての調査地において冬期の盗蜜被害率が他期より有意に高かったが,1か所の調査地(市街地)では,春夏期でも大きな被害率が記録されることがあった.これは品種が異なるため,人為的攪乱のため,あるいは花卉植物および果実が多いためと思われた.また,3か所すべてにおいて,カンヒザクラの開花期に,ハイビスカスへの盗蜜被害率が低下してい.た.メジロがカンヒザクラから吸蜜しているのが頻繁に観察されるため,このことが影響していると思われた.
著者
籠島 恵介
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research
巻号頁・発行日
vol.7, pp.S1-S4, 2011

沖縄本島において,メジロ <i>Zosterops japonica</i> が沖縄原産の植物ノアサガオ <i>Ipomoe indica</i> の花に対して盗蜜を行なうのを観察し,その盗蜜痕を撮影した.今までメジロによる盗蜜の記録のある花はすべて移入種であったのに対し,日本原産種に対して盗蜜が行なわれていたことは,メジロが沖縄島において,古くから盗蜜を行なってきた可能性を示す.また,同属で移入種のモミジヒルガオ <i>I. cairica</i> については,盗蜜行動の連続写真により,その詳細を記録した.ノアサガオへの盗蜜痕と思われるものは8回の調査のうち5回で観察され,323個の花のうち,最大被害率41.18%,平均被害率6.19%であった.モミジヒルガオでは,8回の調査のうち2回観察され,264個の花のうち,最大被害率31.03%,平均被害率5.68%であった.