著者
米山 秀
出版者
比較都市史研究会
雑誌
比較都市史研究 (ISSN:02871637)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1-2, pp.31-47, 2018-12-20 (Released:2019-04-12)
参考文献数
71

近刊の英文拙稿は、イギリス西部エクセタ市の縮絨工ギルドの産業革命前の変質過程をその内部資料で描いたものである。このギルドでは、17世紀半ばに独占的営業権が失われていく一方、加入者が増加していった。この一見奇妙な状況の背後にあるメカニズムを、拙稿ではそれに先立つ二つの論争との関連で読み解く。 第一に、イギリスのギルドはいつ崩壊したのかという問はわが国でも古典的なものであった。 イギリスでは90年代以降現実政治的背景もあり職業訓練機関としてのギルドが残存したという主張がなされこれをめぐる論争があった。第二に、なぜイギリスは大陸と異なり産業革命期以降急成長したのかというやはり古典的な問をめぐって、その基礎に家族構造の相違をみる主張とギルドなどの相違を見る主張との対立が、21世紀に入り続いている。 拙稿では、エクセタにおける職業訓練機関としてのギルドの存続とそれに先立つギルドと家族の大陸との分岐を論じている。
著者
米山秀隆
出版者
富士通
雑誌
FRI review
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, 1997-07
著者
米山 秀隆
出版者
富士通総研経済研究所
雑誌
研究レポート (ISSN:13469029)
巻号頁・発行日
no.392, pp.1-29,巻頭1枚, 2012-05
著者
米山 秀隆
出版者
富士通総研経済研究所
雑誌
研究レポート (ISSN:13469029)
巻号頁・発行日
no.416, pp.巻頭1枚,1-21, 2014-05
著者
米山 秀 THOMAS Olding
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、経済史上もっとも古典的な研究テーマの一つである農業賃金労働者の形成過程を、農民層分解論としてではなく賃金労働者の家族史として考察することにあった。すなわち小農民の土地所有の分解論としてではなく、若い男女の独身の奉公人が、小農民になるかその世帯内に奉公人のまま生涯包摂されるというライフサイクルの在り方が、若い奉公人の大半が結婚して賃金労働者となるというライフサイクルの在り方へ変化する過程として住民台帳で捉えることにあった。本研究においては、こうした想定を研究史の再構成によっていくつかの具体的な仮定にするとともに教区簿冊や住民台帳類でその検証を試みた。その結果、本研究の範囲内では賃金労働者家族自体の増加は直接的には検出できなかったが、短期奉公人(ライフサイクル・サーヴァント)は決して近世イギリスの奉公人の一般的な特徴ではなく、賃金労働者の結婚前のライフサイクルの特徴であり、しかも近世後半に急増したという形で、農業賃金労働者家族の形成過程が間接的には論証されたといえる。