著者
米山 弘一 謝 肖男 米山 香織 竹内 安智
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.302-305, 2009-11-20
参考文献数
35
被引用文献数
3 3

被子植物の約1%(3000-4500種)は他の植物に寄生する寄生植物である。寄生植物のなかでも、農業生産に大きな被害を与えているのがハマウツボ科の根寄生雑草ストライガとオロバンキである。ストライガは光合成機能を有する半寄生性で、主にソルガム、トウモロコシ、サトウキビ、イネなどイネ科植物に寄生する。オロバンキは光合成機能を失った全寄生性で、主にトマト、ニンジン、タバコ、アブラナなどの双子葉植物に寄生する。これらの根寄生雑草は、巧妙な生存戦略によってその生息範囲を拡大している。それは、(1)大量の種子を生産し、(2)種子の寿命が長く、(3)種子発芽が宿主由来の化学物質によって誘導されることである。すなわち、根寄生雑草の種子は、宿主の根から分泌される発芽刺激物質にさらされて初めて発芽する。この発芽刺激物質には少なくとも3種類の化合物群、すなわち、ソルガムのジヒドロソルゴレオン、ヒマワリのセスキテルペンラクトン、そしてストリゴラクトン(SL)、が知られているが、最も多くの植物種が生産・分泌している発芽刺激物質がSLである。本稿では、SLの構造多様性と植物界における分布について解説する。
著者
謝 肖男 来生 貴也 米山 香織 野村 崇人 秋山 康紀 内田 健一 横田 孝雄 Christopher S. P. McErlean 米山 弘一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.58-61, 2017-05-20 (Released:2017-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
41

トウモロコシが生産する根寄生雑草種子発芽刺激物質の1つを単離し,その構造を各種機器分析により,methyl (2E,3E)-4-((RS)-3,3-dimethyl-2-(3-methylbut-2-en-2-yl)-5-oxotetrahydrofuran-2-yl)-2-((((R)-4-methyl-5-oxo-2,5-dihydrofran-2-yl)oxy)methylene)but-3-enoate(1)と決定し,ゼアラトン酸メチルと名付けた.ストリゴラクトンの生合成前駆体であるカーラクトンの13C標識体の投与実験から,1はトウモロコシ体内においてカーラクトンから生合成されることを確認した.1は根寄生雑草Striga hermonthicaおよびPhelipanche ramosaの種子に対して強力な発芽刺激活性を示したが,Orobanche minorの種子に対する活性は100倍弱かった.