著者
米澤 ルミ子 小西 善彦 千葉 勇 浦崎 修治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.515-522, 1998-05-25
被引用文献数
8

本論文では無線LANのようなシステムにフェーズドアレーアンテナを用いることにより, ビーム形成のための素子アンテナの励振位相を制御することによって広帯域にわたって近傍への電波干渉を低減する方法について検討した.この方法はアレー状態での遠方および近傍の各素子アンテナの振幅位相成分データをもとに, 方向拘束付き出力電力最小化アルゴリズム[1]を用いて各素子アンテナの最適励振位相を決定するものである.ここで示す方法は近傍での干渉をおさえるだけでなく, ビームを向けたい遠方の所望の方向での放射レベルを維持する効果もある.迷信フェーズドアレーアンテナの位相を制御することにより近傍への干渉波を抑圧する方式について, 方向拘束付き出力電力最小化法を用いた方法について検討した.また, 8素子のパッチアレーアンテナを用いた実験において周波数9.55GHz, 帯域500MHzの範囲で13.2dB, 中心周波数の1点のみで31.7dBの干渉波の抑圧を確認した.更に, 位相制御用にディジタル移相器を用いた場合に起こる量子化誤差の影響を除去する方法を示し有効性を確認した.