著者
馬場 建 槇原 絵里奈 米田 浩崇 清川 清 小野 景子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.10, pp.1-4, 2020-07-20

組込みシステム開発では,ハードウェアとソフトウェアの両状態を考慮する必要があり,初学者にとってデバッグを行なうことは難しい.本研究では,無意識的な知識が反映される視線に着目し,熟練者がバグを効率的に修正する方針を視線分析で明らかにできるかを調査する.そのために,熟練者と初学者の組込みシステムデバッグ時の視線情報を分析し,熟練者の無意識的な知識と,初学者が苦手とする点を調査した.分析は注目物体の時系列データに対して,GP-HSMM という高精度な教師なしの分節化手法を用いることで行なった.分析の結果,初学者はデバッグの修正方針を持たず,システムの確認方法を知らないことがわかった.熟練者は序盤に回路,中盤にソースコード,終盤に回路とソースコードの両者を確認する傾向があることが明らかになった.
著者
馬場 建 槇原 絵里奈 米田 浩崇
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2019-SE-203, no.9, pp.1-8, 2019-12-05

組込みシステム開発はソフトウェア開発と異なり,ハードウェアが密接に関わる.組込みシステムでは考慮すべき要素が増えるため,初学者はシステムが動かない原因の箇所を推定し,修正することは難しく,初学者のデバッグ効率の向上が課題となる.デバッグ効率を向上させる方法の一つに,熟練者のデバッグのコツを初学者に教示する方法が考えらえる.組込みシステム開発のデバッグ作業の視線において,熟練度の差がどのように現れるかを被験者 7 名の被験者実験により調査した.調査の結果,実験時間全体をまとめて分析した場合,時間分布や注目物体の遷移確率は熟練者と初学者の間で有意な差がなかった.注目物体の時間的推移について調査した結果,熟練度によって時間ごとの注目物体の傾向に違いがあった.傾向の違いを明らかにするために,時系列データを時間分割して注目物体の遷移確率を調べたところ,熟練者は終盤でソースコードと回路の双方に誤りが存在する可能性を考慮しながらデバッグするといった傾向が見られた.このように注目物体の時間的な傾向を基に,初学者に対してシステムの修正方針を教示できると考える.