著者
岩田 彩 上坂 和美 粟津 妙華 石川 由羽 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-105, no.10, pp.1-6, 2015-09-22

本稿では,近代書籍で用いられているフォントを用いた活字を自動で生成する手法を提案する.近代デジタルライブラリーで一般公開されている近代書籍のテキスト化に使用する多フォント活字認識手法の精度向上のため,学習データを十分に増やす必要がある.しかし,近代書籍に使用されているフォントは多種多様であるため,十分な学習データを収集することは困難である.そこで本稿では,学習用の近代書籍フォントセットを自動生成する変換フィルタを,遺伝的プログラミングを用いて生成する.
著者
小山 ちひろ 石川 由羽 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-110, no.10, pp.1-6, 2016-09-09

本稿では,ルールや攻略法を与えず自動的にルールを構築し,上達することができる成長型ゲーム AI の開発を行う.専用の学習エミュレータが存在しないゲームを学習させることは困難である.そこで,プレイ画面情報のみでゲームを学習することができるシステムを開発する.画面情報より得られたスコアのみを学習に用い,遺伝的アルゴリズムを適用して Flash ゲーム “QWOP” の運動学習を行う.ランダムな行動パターンを持つ個体群に対し,遺伝子操作を行うことでスコアが徐々に向上し,歩行運動を学習していくことを確認する.
著者
周 潔瑩 坪井 哲也 長谷川 大輔 石川 浩司 木村 恵介 田中 未来 大関 和典 繁野 麻衣子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2018-MPS-117, no.4, pp.1-6, 2018-02-22

レストランの顧客満足度は,料理の品質だけではなく,料理提供の順序とタイミングにも強く関係している.料理の品質は,料理ごとに定められている調理手順に従うことで維持できるが,料理提供の順序やタイミングは,注文された複数料理の組み合わせにより,各々の調理手順を組み立てなければならない.本研究では,調理手順を組み立てるスケジューリング問題を扱う.まず,スケジュールを行う調理手順を簡素化したモデルを作成し,提供までの時間とグループ客への同時提供を重視したルールを提案する.そして,評価実験により提案したルールを比較し,ルールの有効性と結果にもたらす影響を考察する.
著者
誉田 実希子 久保 孝富 森村 成樹 池田 和司
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-122, no.12, pp.1-5, 2019-02-21

スナメリ (Neophocaena asiaeorintalis) は通常,比較的少数の群れをつくる.採餌行動においても一つの魚群に対して複数のスナメリが採餌を行うが,そこでは一部のイルカで見られるような明示的な役割分担は見られない.しかし,それぞれの個体が他個体を無視し,完全に単独で採餌しているかどうかは明らかではない.本研究ではドローンによるスナメリの採餌行動の動画を用い,スナメリの採餌行動に集団性が見られるかどうかを検討した.
著者
横井 創磨 佐藤 一誠 中川 裕志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-103, no.5, pp.1-5, 2015-06-16

大規模な文書データに対して頻度分布のロングテールに位置する単語は情報量が少ないため,トピックモデルと呼ばれる単語の統計モデルを分布の背後に仮定することで,検索エンジンやオンライン広告などの性能が向上することが知られている.しかし,このような場面において用いられるトピックモデルは,予め仮定する潜在トピック数を高次元に設定する必要があり,計算速度や必要メモリ量が問題になる.トピックモデルの最も基本的なモデルである LDA に対して,大量の文書を扱える SGRLD LDA や高次元のトピックを扱える AliasLDA などの手法が存在するが,大量の文書・高次元のトピックを同時に達成するためには非効率的なアルゴリズムを巨大な計算機リソースを用いて実行しなくてはならない.そこで本研究では,これらの手法をうまく組み合わせることで効率的な計算を可能にする.また,勾配計算において更新の方法を工夫することにより,余分な空間を使わずに期待値計算を行うことができる.実験により,提案手法は大規模データかつ高次元トピックでも実行可能であり,さらに既存手法と比較して速く,特に高次元トピックでは 10 倍以上高速であることを示す.
著者
村田 暁紀 佐藤 寛之 高玉 圭樹
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.3, pp.1-6, 2017-02-20

本研究では,1 つの個体としての解を進化させる通常の多点探索型進化計算 (点 = 個体 = 解候補) ではなく,複数の個体からなる解を進化させる進化計算 (複数の個体を群ととらえると,多群探索型進化計算 (群 = 複数の個体 = 解候補)) を提案するとともに,その有効性を検証することを目的とする.さらに,進化計算において根源的な問題である最適性と多様性のトレードオフを,多群探索型進化計算にて改善することを試みる.具体的には,多目的進化計算手法一つである NSGA-II の評価指標として,「最適性」 を評価する解の良さと 「多様性」 を評価するノベルティサーチを導入した後,(1) 評価値の高い解の近傍を重点的に探索する重点サンプリングと (2) 評価値の高い解から離れる範囲を探索しない多様性制限を組み込む.提案手法の有効性を検証するため,航空機着陸問題 (群 = 複数の航空機の経路集合 = 解候補) に適用し,シミュレーション実験を行ったところ,(1) 提案手法は,各個体を最適化しつつ全体を最適化するとともに,ノベルティのみの評価や Fitness の評価のみの手法に比べ,より最適性の高い解を獲得できることが明らかになった.また,(2) 多群探索型進化計算において,重点サンプリングと多様性制限が最適性と多様性のトレードオフの問題の改善に貢献できることを示した.
著者
鮫島 和行 金野 武司 李 冠宏 奥田 次郎 森田 純哉 橋本 敬
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.5, pp.1-6, 2016-12-05

ヒトは,記号に意味を持たせ,その情報交換を通じて協力 ・ 協調行動を行うことで,社会を形成している.記号への意味づけや合意を,ヒトはどのように獲得または創発しているのだろうか.本研究では,2 者が協調行動を発現すると成功するゲーム課題において,ゲーム上での記号使用の学習過程を記述する確率モデルを提案する.実際の行動実験の結果から,モデルによる記号の意味の変遷を解析した.その結果,字義的意味の成立の次に言外的意味が成立するなど,認知過程が複数存在することがわかり,その変遷を可視化する事ができた.確率モデルによる認知過程の分離は,脳波などによる対応する脳内過程を検討するために重要である.
著者
隅田 大勇 竹川 高志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2022-MPS-138, no.23, pp.1-6, 2022-06-20

機械学習モデルの精度を向上させるためには,使用するモデルの特徴,およびデータのドメイン知識を踏まえたうえで特徴量エンジニアリングを行うことが重要である.機械学習モデルを構築する者がデータのドメイン知識を深く理解していない場合は,関連する知見の調査が必要である.そもそも得られたデータの変数間の因果関係が不明である場合は,詳細な探索的データ分析を行う必要がある.本研究ではデータからそのデータの変数間の因果グラフを推定する統計的因果探索の手法である LiNGAM を用いた特徴量選択と交互作用項の生成を組み合わせることによって,予測モデルの精度を向上させることができた.
著者
松田 真治 伊東 栄介
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-130, no.4, pp.1-6, 2020-09-22

本研究では麻雀における他家の待ち牌予測を,機械学習手法の Neural Network を用いて行う.先行研究では,他のプレイヤーの待ち牌を予測する場合,時系列情報を省いている.そのため,手順や局面の状況を利用できない予測となっていた.手順や局面の状況を予測に使うため,本研究では牌の切られた順序情報を学習に用いる手法を提案する.具体的に,麻雀ゲーム「天鳳」の牌譜データを対象に,先行研究の手法と本研究の提案手法とを適用し,待牌を予測した.その結果,先行研究と比較して F1 score を 4.16 % 向上させることができた.
著者
小泉 大城
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-114, no.3, pp.1-4, 2017-07-10

本研究では,形状および尺度パラメータをもつワイブル分布のパラメータの最尤推定に基づくハードディスクドライブ (Hard Disk Drive, HDD) の寿命時間の推定問題を扱った.2013 年から約 4 年間,総計約 9 万件の完全データとランダム打ち切りデータを対象とし,2 つのパラメータの最尤推定値を数値計算により求めて考察したところ,次の (1) - (3) の 3 点が明らかになった.(1) ワイブル分布の形状パラメータのほとんどは 1 より大きな値となり,これは Increasing Failure Rate (IFR) を強く示唆する.(2) 完全データにより推定された平均故障時間 (Mean Time to Failure, MTTF) は,それぞれのハードディスクドライブの MTTF の経験的下界を意味する.(3) 完全データとランダム打ち切りデータのそれぞれから推定される MTTF の比により,(2) の経験的下界の効率を定量化することができる.
著者
上水流 歩望 佐藤 裕二
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-107, no.4, pp.1-6, 2016-03-01

パズルゲームの一種であるピクロスの大規模な問題を解くための遺伝的操作の提案と,効率的に GA を実行するための決定的アルゴリズムを併用する手法の提案を行う.ランダムに生成した 20×20 のピクロス問題を 50 種類使用した評価実験から,提案するマスの確定法を行う GA が,単純にマスの確定法を行う GA より探索精度を大きく向上できる可能性を示す.
著者
山口 悟史 金 多仁
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-131, no.4, pp.1-6, 2020-12-10

ダムの放流計画を自動作成するための数理最適化手法「プログレッシブ動的計画法」を提案する.近年の水害の頻発を受け,従来にない放流計画が求められている.ダム放流量を急激に変化させない「放流の原則」を満たしつつ,大雨に先立ってダムの容量を空けておく「事前放流」,下流の河川流量を小さく抑えるために複数のダムからタイミングをずらして放流する「ダム群連携操作」を実現するために,提案手法は離散微分動的計画法を繰り返すことで段階的に解像度を向上させる.これにより提案手法は放流量を高い解像度(1m3/s)で探索する.N 川ダム群を対象にシミュレーション実験を行った結果,現在のダム操作規則では 3 ダムとも緊急放流に至るケースであっても,提案手法では緊急放流を避け,かつ下流河川のピーク流量を 41% 下げる解を見つけた.対象期間 1.5 日の最適化に要した時間は 191 秒であった.提案手法がダムの放流計画の自動作成に有用であると結論する.
著者
得丸 久文
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-130, no.2, pp.1-6, 2020-09-22

概念は,低雑音環境で思考を深めることによって,1 対 1 の反射の論理が 1 対全の群の論理へと進化することで生まれる思考ツールである.この意味を正すには,概念とその意味が群を形成することを確認することが有効ではないか.
著者
田中 雅浩 松田 健 園田 道夫
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-123, no.44, pp.1-2, 2019-06-10

CTF(Capture The Flag)は,ゲーミフィケーションの手法を取り入れた,情報セキュリティ分野の知識を競う競技であり,世界各国で競技が開催されている.CTFはセキュリティ技術を学ぶ学習コンテンツとしても有用であるが,入門者向けの問題であってもある程度の専門知識が要求される場合もあるため,初学者の中にはハードルが高く感じる者も存在する.本研究では,問題文とその問題に対するCTF経験者の正解Flag取得までの課程が分かるデータを収集し,それらの中から技術用語を中心とする単語の共起頻度を調べることで,分野ごとに必要な知識や技術が具体的にどのようなものか,重用語の関連性から調査することで,CTF入門者に有用な情報が抽出できるかどうか検討する.
著者
田中 博基 木村 泰己 松縄 哲明 三本木 省次 髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.3, pp.1-4, 2020-07-20

半導体製造において,リソグラフィシミュレーションモデルが重要である.このモデルを構築する際,大規模密行列の部分特異値分解が必要となる.部分特異値分解のための方法として,AIRLB(augmented implicitly restarted Lanczos bidiagonalization)アルゴリズムがある.本稿では,大規模密行列の部分特異値分解のために,AIRLB アルゴリズムの改良を行う.改良法では,計算途中で必要となる小さな行列の特異値分解のために,QR アルゴリズムではなく,OQDS(orthogonal-qd-with-shift)アルゴリズムを適用する.これにより,高精度な特異値を持つ特異値分解が行われる.数値実験の結果,既存の QR アルゴリズムを用いる AIRLB アルゴリズムと比較して,提案した改良が有効に機能していることが確認できる.精密な議論を行うため, 大規模疎行列と大規模密行列の両方を実験の対象としている.
著者
馬場 建 槇原 絵里奈 米田 浩崇 清川 清 小野 景子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.10, pp.1-4, 2020-07-20

組込みシステム開発では,ハードウェアとソフトウェアの両状態を考慮する必要があり,初学者にとってデバッグを行なうことは難しい.本研究では,無意識的な知識が反映される視線に着目し,熟練者がバグを効率的に修正する方針を視線分析で明らかにできるかを調査する.そのために,熟練者と初学者の組込みシステムデバッグ時の視線情報を分析し,熟練者の無意識的な知識と,初学者が苦手とする点を調査した.分析は注目物体の時系列データに対して,GP-HSMM という高精度な教師なしの分節化手法を用いることで行なった.分析の結果,初学者はデバッグの修正方針を持たず,システムの確認方法を知らないことがわかった.熟練者は序盤に回路,中盤にソースコード,終盤に回路とソースコードの両者を確認する傾向があることが明らかになった.
著者
藤岡 和暉 町田 貴史 松原 崇 上原 邦昭
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-123, no.2, pp.1-6, 2019-06-10

深層学習に基づく画像のモダリティ変換は, 2 つのドメインの同時分布とそれらの間の変換の学習を目的としている.特に,敵対的学習 (GAN) に基づく手法の 1 つである CycleGAN は目覚ましい結果を示している.しかし,CycleGAN による画像のモダリティ変換は,変換前後における整合性の維持が難しく,異なるドメインの大規模な訓練データを生成するパフォーマンスを低下させる.この問題を解決するために,本研究では CycleGAN を改良した.具体的には,CycleGAN では変換後の画像 1 枚のみで識別するところを,本研究では変換前後の画像をペアにして識別することで,整合性の維持を図る.また,CycleGAN と提案手法を比較するために,変換画像から生成されたデータセットを用いて YOLOv3 を訓練することにより定量的に評価した.実験結果より,提案手法がデータ増強に有効であることを示した.
著者
王 亜騰 アランニャ クラウス 狩野 均
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.26, pp.1-6, 2016-12-05

外国為替取引 (FX) 市場は世界最大級の金融市場である.現在では一般人でもネット証券で取引することが可能になった.しかし,為替相場は無数の要因で反動し,取引のタイミングを予測することが非常に困難である.そのため,一般人でもわかりやすく利用できる取引支援システムが求められている.本研究では取引率と正解率を目的関数とした多目的遺伝的アルゴリズムを用いて為替取引における有効な売買ルールを獲得した.本手法は非劣解集合による多数決で取引のタイミングを予測するものである.従来の手法より高い利益が得られることを過去のデータを用いた実験で確認した.
著者
寺戸 綾佑 林田 守広
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-122, no.14, pp.1-2, 2019-02-21

サイバー攻撃に対する防御法として,ネットワークベース侵入検知システム (Network-based Intrusion Detection System : NIDS) による攻撃の検知が挙げられる.本研究では,NIDS 評価用データセット Kyoto 2016 Dataset に対して勾配ブースティング木を用いることで,サイバー攻撃の検知精度向上を目指す.
著者
磯崎 敬志 穴田 一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-106, no.5, pp.1-5, 2015-12-08

本研究では新たなアントコロニー最適化技法 (ACO) を提案する.ACO はアリの採餌行動をモデル化したメタヒューリスティクスで,巡回セールスマン問題 (TSP) などの組み合わせ最適化問題の近似解を求めることができる.ACO の一種である MAX-MIN Ant System(MMAS) は高い精度で近似解を求めることができるが,収束が遅いなどの欠点がある.そこで提案手法では,MMAS 解を記憶させておくスペースである Memory を改良したものを持たせ,局所解からの脱出を目的とした近傍探索アリ,解の多様性の維持を目的とした複数のアリによるフェロモン更新を導入し,従来手法と比べて解の精度と収束速度の両方が向上したことを評価実験で確認した.