著者
志和 亜華 米田 真康 大野 晴也 小武家 和博 上村 健一郎 首藤 毅 橋本 泰司 中島 亨 中川 直哉 村上 義昭
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.149-155, 2016-03-30 (Released:2016-03-30)
参考文献数
29
被引用文献数
3

膵疾患加療目的に施行された膵頭十二指腸切除術(PD)18例および尾側膵切除術(DP)18例に対し,インスリン分泌能,膵体積量と耐糖能異常の頻度を比較検討した.インスリン分泌能評価はグルカゴン負荷試験を用い,膵体積量は造影CTを施行し計測した.術前の膵体積量,インスリン分泌能および糖尿病有病率に有意差を認めなかった.両群ともに術後インスリン分泌能は残膵体積量と有意な正の相関を認めたが,残膵体積量当たりのインスリン分泌能はDP群がPD群に比べ有意に低下していた.術後糖尿病有病率は術後3ヶ月時点でPD群33.3 %,DP群72.2 %とDP群で有意に高率であり,新規発症は術後12ヶ月時点でPD群14.3 %,DP群63.6 %とDP群で有意に高率であった.DPはPDよりも残膵体積量当たりのインスリン分泌能が低く,耐糖能が悪化する可能性が高いため,慎重な経過観察が必要である.