- 著者
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粉川 春幸
- 出版者
- 一般社団法人 人文地理学会
- 雑誌
- 人文地理 (ISSN:00187216)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.4, pp.447-466, 2017 (Released:2018-02-23)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
-
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本稿の目的は,複数のエスニック集団によるエスニック・ビジネスの混在がみられる大阪市中央区南部を対象地域として,エスニック・ビジネスの実態を明らかにすることである。対象地域には,2016年12月時点で200軒近いエスニック系施設が確認された。その大半を占めるのが韓国系施設と中国系施設であり,前者は対象地域北部を中心として大小の通り沿いに分布する一方,後者は対象地域南部の主要通り沿いに線状に分布している。また,この地域のエスニック・ビジネスは,韓国系・中国系のいずれも飲食業・サービス業が多く,特に飲食業では多様化や専門化が進展している点は共通している一方,サービス業に関しては,韓国系では日本人向けの業態への進出もみられるのに対し,中国系では同胞向けにとどまっていることが明らかになった。また対象地域におけるエスニック・ビジネス事業所では,事業所内での国籍・エスニシティが複雑化している事例がみられるなど,その実態は多様である。