- 著者
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粟沢 尚志
- 出版者
- 千葉経済大学
- 雑誌
- 千葉経済論叢 (ISSN:21876320)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, pp.65-78, 2013-12-21
本稿は、商店街に関して筆者が展開した理論的考察を、久繁哲之介氏の著書『商店街再生の罠』で見出された観察や導かれた含意と対応させて、商店街の役割とは、私益よりも公益を重視するような人を中心とした組織的市場ととらえるべきであることを明らかにしている。第1節では、心理会計モデルを用いて、コミュニケーションが顧客の心理的価値を高めるために重要であることを明らかにしている。第2節では、地域コミュニティが持つ価値観が、えてして不統一になりがちな商店街各店へ一貫性をもたらすために重要であることを明らかにする。第3節では、商店街と市民とのゆるやかなつながりが生み出されると、それが買い物の安心感をもたらし、さらに店の経営努力によって商店街の競争優位が高まることを示す。