- 著者
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永渕 正昭
紀 朝栄
笹生 俊一
吉岡 豊
- 出版者
- 日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
- 雑誌
- 失語症研究 (ISSN:02859513)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.3, pp.183-190, 1990 (Released:2006-07-06)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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4
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日本語と中国語のbilingual aphasia の1例を紹介する。3歳で中国に渡り8歳まで日本語を話したが,終戦でその後中国に残留し,35歳で日本に帰国した男性が48歳で重度の運動失語になった。この失語回復を2年間観察したが,中国語の方が日本語より良好であった。そして言語機能は聴覚的理解と読解で回復はみられたが,発語と書字は実用的回復にいたらなかった。読解は漢字 (中国語) で可能になったが,「ひらがな」ではほとんど不可能であった。言語理解は乗物と飲食物に関するもので成績がよかったが,これは病前の趣味 (旅行) と職業 (中華料理店) が関係していると考えられた。これに関連して,二 (多) 国語使用者の失語回復について若干の考察を試みた。