著者
紙本 裕一 福田 博人
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.133-138, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
10

本稿は,算数・数学科教科書に含まれる文章表現の意味理解の限界が存在するのかどうかを明らかにすることが目的である.分析の結果,教科書の90%は中学3年で,理論上理解できるものの,残りの10%については他教科の教科書や,これまでに使用した算数・数学科教科書を使っても理論上意味理解ができないものが残ることが明らかとなった.他教科の教科書やこれまでに学習した算数・数学科教科書を使って本文の意味理解を進めるとき,小学6年でも20%程度の語が理解できないことが明らかになった.つまり,他教科の教科書を活用しても,算数・数学科教科書に含まれる文章表現を一字一句理解することはできない.
著者
野田 尚吾 後藤 朱 紙本 裕一
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.251-256, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
7

学習指導案は教科によって書き方も異なり,各項目も異なっている.教科全体で見たときに,その前に学習指導案はどのような傾向・特徴を持っているのだろうか.本稿は,教科全体で見たときの学習指導案の特徴を明らかにすることを目的とする.小学校学習指導案細案を題材として分析した結果,「①西日本・東日本で見て学習指導案細案の特徴に傾向の差はない.②質的に見ると,社会が最も他の教科と特徴が近く,理科が最も遠い傾向がある.③質的に見ると,近畿,中国・四国,九州は比較的特徴が近い指導案を書く傾向にある」という結果が得られた.
著者
紙本 裕一
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-44, 2019-03-29 (Released:2019-05-30)

問題文に対する解法のように、数学では記号そのものだけでなく視覚的記号によって構成された構造も内容理解として求められる。本稿は、数学学習での学習者にとって、聴く活動がどのような固有性を持つのかについて示唆を得ることが目的である。特に、コンピュータ的思考との対比から学習者の聴く活動の役割について言及した。構造を支える1つ1つの内容を理解し、そこでの話を聴くことにより、頭の中で構造を再構成するという意味で、聴く活動には論理的作用があるといえる。しかし、それ自体はコンピュータにも同様の作用があるため、コンピュータ的思考との対比でいえば数学学習における聴く活動の固有性は直感的作用にあるといえる。