著者
山﨑 善弘
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.221-231, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

従来の近世地域社会論では、それぞれの地域社会の個別性の把握(分現状を克服することは容易ではないが、大島真理夫が提起した「幕藩制支配の地域類型」論を参考にするとともに、その問題点をも浮き彫りに析知)は緻密になされているが、その一般化・普遍化(総合知)がなされているとは言い難い状況にある。しかし、地域社会の個別性の把握と一般 化・普遍化とは矛盾せず、むしろ両立して初めて真の地域社会論といえる。 しながら、最終的に私の研究に引き付けて、地域社会の個別性の深い把握 とその一般化・普遍化の両立に向けた考察を展開した。
著者
三村 昌司
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-123, 2015-03-21 (Released:2018-12-14)

本稿は、日本の近世近代移行期研究における「主体」という研究対象について、史学史的考察をもとに、改めてその可能性について考えるものである。戦後歴史学において、「主体」は研究対象として重要な位置を占めながら、1970 年代の構造主義や国民国家論(批判)の登場により、後景に退いていった。 しかし1980 年代に研究の進んだ地域社会論において、実は「主体」という研究視座がそのなかで生きており、1990 年代以降ふたたび「主体」を対象とし、かつ方法論的に改めて考察を深める研究が登場しつつあるとみている。最後に、日本における近代社会形成の理解のために、近世近代移行期における「主体」を方法論とした研究の可能性について言及した。
著者
山﨑 善弘
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.245-255, 2021

<p> 廻在者の取締りを素材に、近世畿内における地域管理体制の具体的様相を、幕府(公儀)・領主・地域社会による対応を見ることで、その全体像を明らかにしようとした。すなわち、従来、近世畿内における地域管理は、専ら地域住民が自立・自主的に行っていたと理解されてきたが、幕府・個別領主・地域住民によってそれぞれ成されており、三者の連携によって効果が上がっていた。そうした地域管理体制の内実の解明に取り組んだ。</p>
著者
三村 昌司
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.165-175, 2014

<p> 近年公議所の研究は進展してきたが、誰がその役をつとめてきたかという基本的なデータについてはまとめられてこなかった。そこで本論文は、公議所とその後身である集議院の構成員(公議人・議員)について、明治2 年3 月、5 月、10 月の3つの段階でそれぞれ明らかにした。また、公議人は近世の江戸留守居役の系譜をひき、酒楼などで多くの会合を重ねる「茶屋政治」も引き継がれていることが指摘されてきた。しかし、留守居役組合と公議所分課の構成員をみると単純な連続性ではなく、近世以来のネットワークと公議所でのグルーピングが重層構造である可能性を指摘した。</p>
著者
山極 和佳 門前 進
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-35, 2008

本研究の目的は,主観的経験を指標として,異なる意識状態操作によって形成される催眠の意識状態の特徴を比較検討することであった。主観的経験は,変性意識状態検査(斉藤,1981)を用いて測定した。異なる意識状態操作には,運動暗示,イメージ暗示,リラックス暗示の三つの催眠暗示と,それらとの比較のためのジェイコブソンのリラクセーション簡略版教示(門前,1995a,b)を用いた。また,統制条件として,意識状態操作を行わない覚醒の意識状態を設定した。実験の結果,意識状態間の違いは,変性意識状態検査の総点および七つの下位因子で見いだされた。また,覚醒の意識状態との間に違いがみられた下位因子の組み合わせパターンも,意識状態間では異なることが明らかとなった。これらの主観的経験の違いは,本研究で形成した三つの催眠の意識状態間における質的な違いを示唆するものであった。
著者
鈴木 公啓
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-129, 2017-12-26 (Released:2018-12-04)
参考文献数
21

本研究は、現在の日本における美容医療(美容整形・プチ整形)の経験や興味の実態を確認すると同時に、美容医療に関わる態度、イメージ、そして心理的特徴などについても明らかにすることを試みた。 美容医療の経験のある者は少ないが、興味を有する者は多いことが確認された。そして、美容医療の経験は、他の身体変工の経験と関連があること、興味/経験があるほど社会で美容医療が受容されていると考えていること、プチ整形は美容整形に比べてコンプレックス解消というイメージが無いこと、また、興味/経験があるほど、周囲の人が美容医療を経験したと考えていることなどが明らかとなった。さらに、興味/経験によって、心理的特徴が異なっていた。そこからは、容姿への不満や装った姿こそが本当の姿であるという考えが、美容医療を受けることを推し進め、そして、施術を経験することによって、自己に満足し、新しい姿が自己像として定着していくプロセスが想定された。
著者
白石 雅紀
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.181-189, 2017

<p> 本論文は保育者不足の現状を踏まえ、保育者養成校における実習が就職に影響を与える要因を探り、就職に結びつくより良い実習の在り方を考察することを目的としている。上記の目的のため、A短大の学生10名に対して、実習経過毎に半構造化面接を行い、修正版グラウンデッドセオリーアプローチにて面接内容の分析を行った。分析結果として、「実習を通じて培われる実習生自身の技術・自信」「実習先で出会う保育者」が実習を通して就職に影響を与える要因であると判明した。この結果を踏まえ、結論として保育者として就職に結びつくより良い実習の在り方のポイントとして「実習で学生が保育者としてより成長できるような大学における講義や指導」「実習園における保育者の立ち振る舞い」の2点を挙げている。</p>
著者
府川 昭世
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.99-110, 2012-03-20 (Released:2019-01-19)
参考文献数
18

意識体系の中心的機能として自我を考える分析心理学の立場から、投影描画法によって現れるコンプレックスを概観した。自我の働きを乱すものがコンプレックスである。コンプレックスには中心となる二つの核がある。一つは心的外傷であり、もう一つは普遍的無意識である。投影描画法の一つである樹木画は、無意識的に深い層の自己像が表れるといわれている。樹木画に表現される陰影は、心的外傷とそれに付随する感情を表すとともに、普遍的無意識の元型の一つである影を象徴的に表している。 筆者が出合った小学生・中学生・高校生の樹木画に表現された陰影をコンプレックスの観点から質的に考察する。「健常群」にも陰影のある樹木を描いた描画者は9割いた。「臨床群」の樹木画は、その陰影の濃さと陰影がほどこされる範囲によってコンプレックスの強さを印象づけた。陰影によって象徴される影は、破壊的にも建設的にも働きうることが示された。
著者
大西 斎
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-18, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

日本国憲法の表現の自由と報道の自由を考察することにより、マスメディアの報道のあり方と憲法上の制約について検討していく。また、放送メディアが電波法76条に基づいて行政処分として電波の停止を命じられることについても検証していった。 放送メディアの電波規制のあり方を踏まえたうえで、国民投票法105条について、改憲反対派と改憲賛成派が憲法改正に関わる放送メディアに対する運動資金についての分析を行った。改憲反対派の現状について巷間で言われているような運動資金が窮乏している現状であるのかについても検証していった。さらに日本民間放送連盟が国民投票に関わっての広告を表現の自由との関連でどのように考えているのかを検討した。国民投票に関わる広告について国民投票の期日前2週間前と、2週間を切った場合の意見表明についても究明していった。最後に、今後の国民投票法105条のあり方について提唱を行った。
著者
川原 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.25-34, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)

近年、インターネットの過度な使用によって生活や健康に支障をきたすネット依存の問題が指摘されている。こうしたネット依存を測定する尺度としてインターネット依存度テスト(IAT)がある。本研究ではIATの因子構造について検討した。探索的因子分析により「コントロール喪失」と「執着と恥・苛立ち」の2因子が抽出された。1因子モデルと2因子モデルについて確認的因子分析を行い、モデルの適合度について比較したところ、各指標について2因子モデルの方がよい値を示した。精神的健康に関わる指標や対人関係に影響を及ぼす指標との関連を調べたところ、因子によって相関係数に差が見られる尺度があった。従来のIATの合計得点で表される重症度は日常生活の活動への支障を表す「コントロール喪失」がより強く反映されており、「執着と恥・苛立ち」はネット依存の心理的側面を検討するのに有用であることが示唆された。
著者
岸本 肇
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-32, 2009-03-20 (Released:2018-12-04)

第一次世界大戦中、日本に囚われていたドイツ兵捕虜のスポーツ活動の中でも、特にサッカー交流を取り上げ、その事実・背景と教育遺産について論じた。その内容は、おおむね、下記のごとくである。 1.似島、青野原および名古屋の捕虜収容所にいたドイツ兵のサッカー交流が、史料により確認されている。 2.交流相手は、主として、中学校、師範学校・高等師範学校であった。 3.サッカー試合を含む文化・スポーツ交流は、彼らの解放が近くなった1919 年に集中している。 4.ドイツ兵捕虜収容所があった自治体における、コンサート、スポーツ行事、展覧会の催行により彼らの諸活動を再現するとりくみ、および学校でドイツ兵捕虜の足跡を題材にした教材づくりや授業をする実践は、地域教育や平和教育、国際交流教育の観点から評価できる。
著者
白石 雅紀 酒井 美里 戸田 有一
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.79-92, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)
参考文献数
38

This study examines issues and challenges confronting multiple minorities. The term “multiple minorities” refers to individuals who have more than two aspects of minority identities. In particular, it focuses on the situations surrounding those who are with minority statuses of Muslims/Muslimas in non-Islamic societies and SOGI. We tried to apply Identity Politics and Connolly’s Pluralism as frameworks for our discussion. With insufficiencies in the labor force, Japan is expected to receive many more foreigners including Muslims/Muslimas in coming years. Not only foreigners but also SOGI minorities have been increasingly recognized as new minority groups. These groups need support for their integration into Japanese society because their vulnerability and experiences of discrimination are too often disregarded. When we consider how best to support them due to their historical backgrounds, we should consider that those two groups are situated in tensions with each other, and most importantly, some belong to both minority groups. Identity Politics provides a framework to empower and visibility of multiple minority identities. However, it is necessary to overcome tensions among identity groups for inclusion. Concerning the identity of multiple minority groups and the position of minorities, this study has only provided some clues for locating them. For further research, a framework that goes beyond the significance and limitations of Identity Politics and Connolly’s Pluralism is necessary to consider multiple minorities.
著者
佐藤 久恵
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.231-243, 2021

<p> 大正十一(一九二二)年七月七日、宮尋常高等小学校の小野さつき訓導は、担任の児童五十六名と共に校外授業の写生のため白石川を訪れた。授業後、川遊びを始め溺れた児童三名のうち二名を救助し、その後一名と共に溺死し殉職した。本稿では、この経緯について宮城県公文書館から取り寄せた公文書『大正十一年学事雑務』のそれに関する部分を翻刻し考察した。文書全体は七月八日から約一カ月の間の文書だが、その中から以下の三文書を中心に取り上げた。①は同校上席訓導佐藤保治、校長我妻貞亮が宮城県知事に提出した「進退伺」の別紙「調査書」、②は①を受け七月十五日付けで刈田郡長佐藤静治が同知事宛に報告する起案文書の「別紙」、③は小野訓導表彰申請の際の「調書」である。これらによって、雑誌等による資料では見えなかった到着時から既に「水泳をしたい」と希望するような児童の行動予測が不十分であったと考えられる記述があることと、また、村葬の可決や仙台四新聞社との協議により最初期から顕彰の広がりがみられることとを確認した。</p>
著者
岸本 肇
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-32, 2009-03-20

第一次世界大戦中、日本に囚われていたドイツ兵捕虜のスポーツ活動の中でも、特にサッカー交流を取り上げ、その事実・背景と教育遺産について論じた。その内容は、おおむね、下記のごとくである。 1.似島、青野原および名古屋の捕虜収容所にいたドイツ兵のサッカー交流が、史料により確認されている。 2.交流相手は、主として、中学校、師範学校・高等師範学校であった。 3.サッカー試合を含む文化・スポーツ交流は、彼らの解放が近くなった1919 年に集中している。 4.ドイツ兵捕虜収容所があった自治体における、コンサート、スポーツ行事、展覧会の催行により彼らの諸活動を再現するとりくみ、および学校でドイツ兵捕虜の足跡を題材にした教材づくりや授業をする実践は、地域教育や平和教育、国際交流教育の観点から評価できる。
著者
鈴木 公啓 菅原 健介
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.89-99, 2014-03-21 (Released:2018-12-15)
参考文献数
27

本研究は,これまで十分に扱われてこなかった,基本的属性との関わりをとおし,承認欲求の性質を改めて基本から明らかにすることを目的とした。基本的属性としては,性別と年齢,体型,そして,結婚の有無,職業を扱った。分析の結果,いくつかの関連が見出された。承認欲求が社会との関係性に影響していること,そして,承認欲求が社会との関係性の影響を受けていることが示唆された。よりよく社会に適応して生活を営む上で,承認欲求が基本的な部分でその役割を果たしていることが確認されたといえる。
著者
紙屋 信義 後藤 みゆき
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.67-75, 2008

子どもたちが楽しく歌うためには、伴奏が必要である。幼稚園・保育園の就職試験の実技でピアノ伴奏を課すところは多く、ピアノは幼児教育の音楽活動になくてはならない存在である。保育現場で最も扱われている簡易伴奏とはどのようなものかを述べ、簡易伴奏とそれをアレンジした伴奏を使って幼稚園での実践を行い、子どもたちがどのような反応を示すか見て、ピアノによる伴奏作りの効果と意義について考える。結果としてアレンジを加えた伴奏を聴いて幼児が様々なことを感じることができた。幼児を歌にもう一度惹きつけるためには、アレンジは有効であることもわかった。子どもたちと触れ合う中で、音楽的感性を高めることは保育者の責任として大切であり、メロディーに対して変化のある和音設定をし、伴奏を工夫することは重要である。一つ一つの音を丁寧に、心を込めて伴奏する努力をすることが保育者にとって大切である。
著者
長内 優樹
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.187-191, 2017-03-31 (Released:2018-12-03)
参考文献数
6

日本の労働市場において事業者(使用者)が労働者にもとめるいわゆる「やる気」の指す意味の一端を探るために求人情報誌において「やる気」を応募条件に掲げる事業者の特徴を事例的に明らかにすることを目的とした。結果として、求人情報誌において「やる気」を応募条件に掲げる事業者は、「建設・採掘の職業」または「サービスの職業」を事業とし、「やる気」を重視すること、時に「やる気」を経験より優先、または経験を不問とするものとして捉えていることを明示する特徴を持っていることが仮定された。
著者
山﨑 善弘
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.245-255, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)

廻在者の取締りを素材に、近世畿内における地域管理体制の具体的様相を、幕府(公儀)・領主・地域社会による対応を見ることで、その全体像を明らかにしようとした。すなわち、従来、近世畿内における地域管理は、専ら地域住民が自立・自主的に行っていたと理解されてきたが、幕府・個別領主・地域住民によってそれぞれ成されており、三者の連携によって効果が上がっていた。そうした地域管理体制の内実の解明に取り組んだ。
著者
郭 潔蓉 杉本 雅彦 森下 一成 金塚 基
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.181-189, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)

本報告は、2018年4月より2019年3月までに実施された「足立区菓子業界の魅力発信事業」において、東京商工会議所と足立区の菓子業界団体と東京未来大学との協働により行った産学連携事業を活用した実践型教育の事例報告である。足立区の地場産業である菓子業界を取り上げ、その伝統と文化を国内外に情報発信を行うことで足立ブランドの魅力を広く伝えることを目指した本事業は、学生参加型の産学連携事業としても、実践型教育としても新しい試みであり、学生にとっても得られる知見が多い事業であったことは特筆すべきである。本連携事業がどのような背景で発足し、事業を推進する過程においてどのような成果と課題が得られたのか、本稿において報告を行うものとする。
著者
川原 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-44, 2020

<p> 本研究では大学生を対象として、居場所感とアパシー傾向がネット依存傾向にもたらす影響について検討した。今回の調査では先行研究に比べて高い依存傾向に含まる調査対象者の割合が多く、項目ごとの回答や尺度の平均得点で見ても上昇しており、大学生のネット依存傾向が強まっている可能性が示唆された。ネット依存と居場所感、アパシーの関連について検討したところ、アパシーとネット上での自己有用感がネット依存に影響を与えており、アパシーに対しては現実生活での本来感が影響を与えていることが明らかとなった。ネット上での自己有用感の直接効果よりも現実生活での本来感がアパシーを経由してネット依存に与える間接効果のほうが大きいことが確認され、ネット依存への対策として、ありのままいられる感覚を現実世界で見出すことがアパシーの低減につながり、それによってネットへの回避を和らげることが手がかりとして示された。</p>