著者
細野 哲夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.533-549, 1975
被引用文献数
2

1.1962年4月から1973年12月までの間に,長野県長野市川中島北戸部附近でオナガと他の鳥類との相互関係について調査した。<br>2.北戸部附近に行動圏をもつ常行寺オナガ群の行動圏内に出現した鳥類は,27科53種である。そのうち,次の17種にオナガとの反応行動が観察された。オオミズナギドリ,ゴイサギ,コサギ,マガン,トビ,ノスリ,チョウゲンボウ,コアジサシ,キジバト,カッコウ,ヒヨドリ,アカモズ,スズメ,ムクドリ,コムクドリ,カケス,ハシボソガラス。<br>3.反応行動がみられた17種について代表的な事例を述べた。<br>4.反応行動をその発生状況と場面から,害的関係,食物関係,塒関係の三点に分け種別に第6表にまとめた。<br>5.害敵関係は,13種の間にみられた。その際の反応行動は,A,警戒的な音声の発声B,攻撃C,擬攻撃(mobbing)D,追撃飛翔E,逃避の五つにまとめられた。Aによる表現が最も多く観察された。<br>6.ゴイサギ,コサギなどの大型の水鳥類に鋭敏に反応した。捕食者的地位にないものになぜ反応するかは,明らかでない。<br>7.ノスリ,チョウゲンボウの飛翔しているものに反応を示し,停止しているものには,全く反応を示さないか,または,mobbingした。トビに対しては,主として低空の直線飛行にのみ反応を示し,その行動に前2種とは,別な評価を下していた。<br>8.カッコウに対する反応の頻度は低く,タカ類に似た羽色や形態が効果的に作用しているかどうか明確でない。<br>9.ハシボソガラスとは,警戒的な音声による反応が通年(第5表参照)みられたが,繁殖期には,攻撃,追撃飛翔などの烈しい行動が加わった。また,幼鳥や塒への通過鳥には反応行動は示さなかった。<br>10.食物関係としては,ムクドリ>オナガ>ヒヨドリという順位が成立していた。種間の食物争いは,食物の量や分散状況のみならず,鳥相互が,どの食物を選択するかによっても生ずる。<br>11.塒関係は,ムクドリとの間にみられた。ムクドリの個体数が増加することによって,オナガは,塒を移動した。
著者
細野 哲夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.63-71, 1983
被引用文献数
9

(1) 1976年から1980年に,長野県上水内郡鬼無里村大字日影•鬼無里(西地区)で,オナガの年間の個体数の変化と繁殖について調べた。<br>(2) 積雪期間が12月末から4月上旬に及び,積雪1~1.5mの地域にも通年オナガは生息していた。調査地域内の地域群は1群で,最大個体数は約40~45羽であった。<br>(3) 6巣を発見した。うち2巣は非繁殖期の群行動圏外,約3.5kmの所であった。<br>(4) 営巣木は,モミ,スギ,カイヅカイブキ,ウメであった。産卵は6月初旬から7月中旬の間であった。1腹の卵数は,6~7卵で今までの観察例と似ている。3巣で不ふ化卵が1~2個みられた。抱卵日数,育雛日数も従来の観察と特に変った点はみられなかった。<br>(5) 1巣にカッコウが托卵した。カッコウの卵が4日前にふ化し,オナガの卵と雛を巣外へ出してしまった。小林建治氏によれば,塩尻市東山の1巣では,両者とも巣立った。<br>(6) 育雛期に,前年生まれの個体による手伝い行動が見られた。雛および雌への給餌,糞の始末,害敵の攻撃などが観察された。
著者
細野 哲夫 巣山 第三郎
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.177-178, 1998-02-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
3

The first breeding of Pica pica was observed in Oami, Otari Village, Nagano Perfecture (36° 53′20″N, 137°52′10″E) in 1997. The nest was built on a utility pole with twigs of Japanese Cedar, a kind of oak etc. All chicks fell from the nest and died before fledging.