- 著者
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山﨑 薫
石神 優紀子
綿貫(吉澤) 仁美
奈良 一寛
池田 加奈
飛川 由梨枝
田中 友里恵
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.141, 2015 (Released:2015-08-24)
【目的】自然界には多くの有用微生物が存在し,近年,自家製の天然酵母を使用したパン作りが注目されている。そこで,自然豊かな本学町田校舎敷地内に生息する野草から野生酵母を採取することを目的とし,パン製作への応用を検討した。【方法】試料に本学の敷地内から採取した12種類の野草を用い,各試料を1.0%糖液に浸け,30℃で24~48時間培養後,普通ブイヨン寒天培地等にて培養,目視にて形状別にコロニーを釣菌し,液体培地に培養,酵母様の細菌が単一になるまで寒天培地から釣菌,液体培地への培養を繰り返し行い,目的の酵母を単離した。単一になった菌は形状や構造などを肉眼・顕微鏡観察,カタラーゼ活性試験等を行った。加えて,糖の資化性試験を行った。市販ドライイーストを比較対照のためにポジティブコントロールとして使用した。単離野生酵母を食品(パン)に応用するために,市販温州ミカンを活用した自家製天然酵母パンの製作方法を参考に,市販温州ミカン発酵液+ノアザミ酵母(本学敷地内より分離)発酵液を調整し,実際にパン製作をして市販ドライイーストで製作したパンと比較した。【結果】一試料から平均3~5種の形状が異なるコロニーを確認し,野草から7種の酵母様の細菌を採取した。糖資化性テストの結果,いずれも病原細菌ではないことが明らかになった。単離ノアザミ酵母発酵液に市販温州ミカン発酵液も併用した自家製天然酵母パン製作を行ったところ,発酵時間は市販ドライイーストを用いた場合の約3倍近くかかったが,ドライイースト利用時に劣らない発酵力が認められた。今後は単離した野生酵母のみにて,パン製作に必要な発酵力を持たせる条件を探索していく予定である。