著者
緒方 宏泰
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-12, 2019 (Released:2019-02-09)
参考文献数
32

【目的】我が国の製薬企業が提供している全身適用の28 の糖尿病治療薬の臨床薬物動態情報を調査し、有効で安全な薬物治療を進めるための本来の目的にそった情報となっているかを検討した。 【方法】製薬企業編集の医薬品インタビューフォーム、および、製造販売承認時の審査報告書及び申請資料概要から情報を収集した。 【結果】F(バイオアベイラビリティ)値は13 薬物で、Ae(未変化体尿中排泄率)値は 7 薬物で、Vd(分布容積)値は13 薬物で、CLtot(全身クリアランス)値は12 薬物で、fuP(血漿中非結合形分率)値は24 薬物で収集できた。F、Ae、Vd、CLtot、fuP の5 パラメータ値の全てが得られたのは7 薬物に限られていた。binding insensitive(IS;fuP > 0.2)の特性を有している薬物は9 薬物であった。binding sensitive(S; fuP< 0.2)の特性を有している薬物は15 薬物あった。21 薬物で腎機能障害患者、肝機能障害患者を対象とした臨床薬物動態試験が行われ、血中総薬物濃度が測定されていた。S の特性を有する医薬品は血中総薬物濃度の変化率のみで用法・用量の調節の必要性を考察することは危険な医薬品であり、臓器障害時の非結合形分率の正常時に対する変化率の情報は必須の重要なものであるが、肝機能障害時に、イプラグリフロジン、ダバグリフロジンのみにおいて測定されていたに過ぎなかった。 【結論】患者の状態に対応して用法・用量の調整の判断を的確に行うための情報としては不十分な状況にあることが明らかとなった。
著者
緒方 宏泰
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.33-35, 2008 (Released:2008-08-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1
著者
緒方 宏泰
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.461-466, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
1

The clinical significance of the changing of plasma protein binding of drug was discussed. Blood concentration of free drug equilibrated with that at the site of action can be used as a useful tool for monitoring pharmacotherapy. The significant increase of blood concentration of free drug may be produced in a very restricted case which is described in detail in this article. However, it should be emphasized that the changing of concentration of total drug in blood does not parallel with that of free drug. Although the changing of plasma protein binding seems to be a minor factor in most of clinical cases, we should notice the role of protein binding which covers the changing of free drug when the monitoring using total drug concentration is performed.