著者
緒方 慶三郎 朝倉 崇文 滝澤 毅矢 出水 玲奈 大石 智 宮岡 等
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.155-162, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
23

本研究の目的はギャンブル障害と診断された者を対象として、その重症度と完全主義の各因子との関係を多次元的に検討することであった。自己評価式尺度であるMultidimensional Perfectionism Cognition Inventory(MPCI)およびProblem Gambling Severity Index(PGSI)を用いて、精神科医によってギャンブル障害と診断された54名を対象に調査を実施した。PGSIと属性データ、MPCIについてスピアマンの順位相関係数を算出したところ、初診時の借金額、完全主義の不適応的な側面とされるMPCIの下位尺度である「完全性追求」および「ミスへのとらわれ」がPGSIとそれぞれ有意な正の相関を示した。さらにPGSIを目的変数とする重回帰分析を行ったところ、説明変数である初診時の借金額と「ミスへのとらわれ」の標準化係数が有意な値を示した。本研究の結果はギャンブル障害の臨床像を完全主義認知の側面から説明するものであった。