著者
宮岡 等 小川 陽子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.416-421, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
2
被引用文献数
2

・発達障害診断は発達障害とひとくくりせず, 自閉スペクトラム障害 (ASD) と注意欠如・多動性障害 (ADHD) に分けて議論しなければならない.・大人のASDとADHD診断, および他の精神疾患の鑑別と合併に重要なのは 「大人の精神疾患全般の症状や診断をよく知る」 と 「生育環境や性格の問題の関与を十分検討しなければ, 過剰診断や過小診断につながる」 である.・大人になってから診断されるASD, ADHDには他の精神疾患と区別しにくい症状があるといわれるが, 慎重な問診で鑑別できることが多い.・大人においてASD, ADHDを診断するために有用なのは発達歴と経過であり, 幼小児期から特徴的な症状があり, 成人になるまで連続性をもつ. 他の精神疾患では発症時期の急な変化を見い出せることが多い.
著者
黒田 佑次郎 岩満 優美 轟 慶子 石黒 理加 延藤 麻子 松原 芽衣 岡崎 賀美 山田 祐司 宮岡 等
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.306-313, 2012 (Released:2012-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【目的】緩和ケア病棟(以下, PCU)入院中の患者とその家族を対象に, 入院前後のPCUに対する認識と印象の変化を質的に検討した. 【方法】PCUの入院患者5名と家族9名に半構造化面接を実施し, 要約的内容分析を行った. 【結果】入院前の印象は, 患者では“想像がつかない”など「特に印象がない」を含む2カテゴリー, 家族では“最期を迎えるところ”や“穏やかに過ごす場所”など「PCUの環境」を含む5カテゴリーが得られた. 入院後の印象は, 患者では“心のケアが重要”など「PCUでのケア」を含む3カテゴリー, 家族では“個室でプライベートがある”など「PCUの環境」を含む7カテゴリーが得られた. 【結論】PCU入転院に際し, 家族は“安心が得られる”と“最期を迎えるところ”という気持ちが併存していることが示された. また, 入転院前に比し入転院後は, 患者と家族ともにPCUに対して好意的な印象をもっている可能性が示唆された.
著者
井上 勝夫 神谷 俊介 吉林 利文 宮岡 等
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.199-207, 2018-04-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
18

重症の聴覚過敏症状を呈した自閉スペクトラム症autism spectrum disorder(ASD)の18歳女性症例の治療経過を報告した。患者は13歳時に不登校のため当院を初診し,特定不能の広汎性発達障害と診断された。18歳時,ほとんど全ての日常生活音に過敏となり驚愕の反応を示し恐怖を感じるようになり,耳栓とイヤーマフでも対処困難なため再診した。耳鼻科での医学検査,頭部magneticresonance imaging検査,および脳波検査で異常所見なく,ASDに関連した聴覚過敏と診断された。適応外使用であることを含めた説明と同意を経て薬物治療を試みた。Aripiprazole(ARP)を18mgまで漸増したところ症状は軽快したが,副作用が生じたため中止した。その後,ARP 3 mgで症状の軽快がみられたが効果不十分だったため,ARP再開3カ月後より音曝露を課題とした治療の併用を試みた。音曝露は,音楽を耐えられる音量で1日1回15分毎日,徐々に音量を上げ,耳栓の上からヘッドホンを装着して聴くことを課題とした。その結果,音刺激に対する馴化と般化が生じ聴覚過敏は大幅に軽減した。ARP再開5カ月後,副作用のためARPを中止し音曝露のみを3カ月間継続したが,症状の改善が続いた。本症例の治療経過から,ASDの聴覚過敏に対する少量のARPと音曝露の併用の効果の可能性が示唆された。ASDの聴覚の特徴,ASD治療におけるARPについての副作用を含めた最近の知見,聴覚過敏の治療,および今後の展望について考察した。
著者
新井 久稔 井上 勝夫 浅利 靖 宮岡 等
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.15-23, 2017-01-15 (Released:2023-09-07)
参考文献数
13

北里大学病院救命救急・災害医療センター(以下当センター)に勤務する精神科医の立場として,救命救急センターに搬送され精神疾患が疑われた患者に対する対応に関して検討した。筆者は,救命救急センターに搬送となった急性薬物中毒や縊首,墜落外傷,刺切創など自殺企図の症例や,重篤な身体疾患の治療にて入院となり精神症状を合併した症例などに精神科医としての立場から対応している。当センターでは,①救命救急センターにおける精神科医の関与は自殺企図症例の割合が高いこと,②自殺企図症例の精神科診断は,F3(気分障害)の割合が高く,退院後精神科医療機関へつなぐケースの割合も高いこと,③自殺企図の手段により,入院期間に影響(過量服薬は短期間,転落外傷は入院が長期化)する傾向が見受けられた。さらに,救命救急センターに勤務して感じた点は,①従来の報告どおり,救命救急センターに搬送される患者のなかでも自殺企図患者が1割以上を占めて高いこと,②精神科医としての役割において自殺企図患者の対応が中心であること,③救命センターのベッドは早い回転が必要であり,早めの治療・ケースワークの必要とされること,④精神科医療機関との効率的な連携に関してはさらに検討が必要と考えられた。
著者
緒方 慶三郎 朝倉 崇文 滝澤 毅矢 出水 玲奈 大石 智 宮岡 等
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.155-162, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
23

本研究の目的はギャンブル障害と診断された者を対象として、その重症度と完全主義の各因子との関係を多次元的に検討することであった。自己評価式尺度であるMultidimensional Perfectionism Cognition Inventory(MPCI)およびProblem Gambling Severity Index(PGSI)を用いて、精神科医によってギャンブル障害と診断された54名を対象に調査を実施した。PGSIと属性データ、MPCIについてスピアマンの順位相関係数を算出したところ、初診時の借金額、完全主義の不適応的な側面とされるMPCIの下位尺度である「完全性追求」および「ミスへのとらわれ」がPGSIとそれぞれ有意な正の相関を示した。さらにPGSIを目的変数とする重回帰分析を行ったところ、説明変数である初診時の借金額と「ミスへのとらわれ」の標準化係数が有意な値を示した。本研究の結果はギャンブル障害の臨床像を完全主義認知の側面から説明するものであった。
著者
宮岡 等 宮地 英雄
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.191-195, 2014-12-20 (Released:2015-02-20)
参考文献数
8

歯科口腔外科医と連携して診療や研究に当たってきた精神科医の立場から,「精神科医が歯科医に求めるもの」と題して,気になる点を挙げた。1.安易に「精神的なもの」,「ストレス性」,「心身症」などと説明しない,2.他覚所見のない身体愁訴において鑑別すべき疾患は非常に多い,3.基本的な医療面接のルールを守る,4.治療は適切なインフォームドコンセントの下に行う,5.向精神薬は慎重に用いる,6.紹介する精神科医を選ぶ。
著者
永井 哲夫 藤野 雅美 若林 類 角田 博之 高森 康次 角田 和之 高木 謙一 中川 種昭 宮岡 等 片山 義郎
出版者
日本歯科心身医学会
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.37-40, 2003

A 53-year old woman complained of a diverse range of symptoms, including sharp pain at the side and root of the tongue, feelings of anxiety, parching, depression, and exhaustion, and early-morning awakening. She had a high score of D on the Minnesota Multiphasic Personality Inventory (MMPI), and was diagnosed as suffering from light depression. Treated with 50mg/day of fluvoxamin, the insomnia was relieved after two weeks, the feelings of depression after four, and all symptoms, including the glossal pain, after eight. The dose was gradually reduced and then stopped altogether after six months. Fluvoxamin is easy to use in the ordinary dental clinical environment because it has almost no anticholinergic effects or cardiovascular side effects. It is thought to show promise for use as a medication for treating a variety of complaints in the oral area.
著者
角田 博之 宮岡 等 高木 謙 角田 和之 高森 康次 永井 哲夫 中川 種昭 藤野 雅美 片山 義郎
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.85-88, 2003-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

“Adolescent paranoia” includes phobias of emitting foul odor from one's own body, fear of eye-to-eye confrontation and dysmorphophobia.A 21-year old man visited the department of dentistry of our hospital complaining of foul breath, whose concern about his odor was delusional. He also exhibited “egorrhea” symptoms, such as fear of eye-to-eye confrontation and monologue, and was diagnosed as having adolescent paranoia by a psychiatrist. The patient had started avoiding people, shut himself away in his room and talked to himself from the age of 15 or 16, after initially becoming concerned about his pimples. He also became concerned about foul breath and having suspicious eyes from the age of 17, felt that others were avoiding him, and became self-recriminatory. He later presumed that his thoughts were being expressed by his mouth contrary to his will.The self-rating questionnaire for assessing the severity of phobia of emitting foul breath received a high score of 36 out of 40. The questionnaire indicated the delusion of having halitosis, delusion of reference and poor social adaptability. He was, accordingly, diagnosed as suffering from Group III (severe) type of phobia of emitting foul breath. On the day of his first visit, he was also examined by a psychiatrist, and diagnosed as having adolescent paranoia and administered 1 mg of risperidone.This patient's symptoms suggested the possibility of schizophrenia. Thus it was preferable to pay attention to other symptoms of schizophrenia and the patient was therefore observed carefully.Dentists are likely to receive outpatients of this type who require immediate referral to psychiatrists. The case of this patient demonstrates the importance of an accurate differential diagnosis regarding complaints of emitting foul breath.
著者
永井 哲夫 角田 博之 宮岡 等 高森 康次 岩渕 博史 角田 和之 片山 明彦 片山 義郎 海老原 務 藤野 雅美
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.143-148, 2000-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

In order to characterize the severity of psychosomatic features of the patients who maintain the false conviction of the foulness of their own breath, thirty subjects (10 men and 20 women, aged 13 to 66) were interviewed by trained dentists and psychiatrists.The patients were classified in three types (Class 1 to 3) according to the degree of their cognition of foul breath, ideas of reference, delusion of reference and social adaptation. Class 1 patients were those who were cocerned about foul breath but showed no idea or delusion of reference and had good social adaptation. Class 2 patients were convinced of the foulness of their breath and had idea of reference and problems of social adaptation. The patients most strongly convinced of the foulness of their breath were placed in Class 3.The patients in this criteria had idea of reference, delusion of reference, and hallucination indicating poor social adaptation. The role of dentists in the treatment plan for imagined foul breath can be decided by the classification of the severity of the syndrome. Class 1 patients who sometimes need anti-anxiety drugs can be treated by dentists, but treatment of Class 2 patients who need antipsychotics should be conducted in cooperation with psychiatrists. The treatment of Class 3 patients should be mainly conducted by psychiatrists, but dentists can provide support for the continuation of the treatment.
著者
渡邉 壮一郎 大坪 天平 田中 克俊 中込 和幸 上島 国利 鳥居 成夫 吉邨 善孝 宮岡 等
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.340-350, 2001
被引用文献数
2

パニック障害患者の6年後の転帰を調査し, パニック障害の転帰に関連する因子について検討した.1993年9月から12月に昭和大学病院精神科を初診で受診し, DSM-III-Rのパニック (恐慌性) 障害の診断基準を満たした166例のうち, 我々が1994年10月から12月に行った1年後の転帰調査に回答を得た100例 (男性37例, 女性63例, 初診時年齢39.5±13.6歳) を今回の調査対象とした.6年後の転帰調査は2000年4月から5月に行った.当科に通院中の患者には担当医が本研究の主旨を説明し文書による同意を得た上で評価した.当科に通院していない患者には手紙により本研究の主旨を説明し, 同意を返信にて確認した後, 指定の日時に電話調査を実施した.評価項目は調査前3カ月間のパニック発作の頻度, 広場恐怖症性回避と予期不安の重症度, 服薬状況, 受診状況, 心理社会的ストレスの強さなどである.当科に通院中の6例と電話調査の51例, 計57例 (男性15例, 女性42例, 年齢47, 5±15.6歳) から回答が得られた.そのうち, 36例 (63.1%) が調査前3ヵ月間に症状限定発作を含むパニック発作を1回以上認め, 38例 (66.7%) が広場恐怖症性回避を認め, 42例 (73.7%) が予期不安を認めた.24例 (42.1%) が当科を含めた精神科に通院中であり, 14例 (24.6%) が他の診療科に通院中であった.41例 (71.9%) が抗不安薬か抗うつ薬を何らかのかたちで服用していた.調査前3ヵ月に1回以上のパニック発作を認めるか, 中等度以上の広場恐怖症性回避か予期不安を認めることを転帰不良の指標とすると, 57例中25例 (43.9%, 95%信頼区間: 31.0~56.8%) が転帰不良と判定された.この転帰不良・良好を目的変数とし, 性別, 初診時の婚姻状況, 初診までの罹病期間, 初診時のパニック障害関連症状の重症度, 性格傾向を説明変数としてlogistic回帰分析を行ったところ, 「初診時に未婚であること」, 「初診時の息切れ感または息苦しさが強いこと」, 「初診時の動悸, 心悸亢進または心拍数の増加が弱いこと」が転帰不良と関連があった.
著者
角田 博之 宮岡 等 永井 哲夫 上島 国利
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.273-277, 1998
参考文献数
10
被引用文献数
2

約15年間にわたって口腔領域のセネストパチー症状を訴え続けた後, 突然妄想状態を呈し精神分裂病と診断された症例を報告する.初診時28歳, 男性, 無職.主訴は口腔領域の異常感.15歳時より, 顔の筋肉が切れている感じや咬合がずれているような感じが持続し, 28歳時, 歯科医の勧めで精神科を受診した.セネストパチー症状は, 向精神薬の投与によっても改善が認められなかった.30歳時に著明な被害関係妄想を認めたため, 精神分裂病と診断された.したがって, 本症例にみられた口腔領域のセネストパチー症状は, 分裂病の前駆症状あるいは部分症状と考えられた.セネストパチーの治療では分裂病症状の出現に注意し, 彼らが歯科を受診した場合は必要に応じて精神科受診を勧める必要があろう.
著者
永井 哲夫 海老原 務 新谷 博明 須佐美 英作 大橋 淳 宮岡 等 酒泉 和夫 藤野 雅美 矢島 正隆 浅井 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.438-447, 1989-04-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 13

Tw enty patients with typical glossodynia were examined from a psychological aspect.They all had premorbid inclination toward hypochondriasis and obsession (e. g., punctiliousness, or extreme perfectionism).Perseveration in response to “ superficial sensation of paresthesia of the tongue” occurring secondary to dental treatment or onset of stomatitis was the basis of the symptoms. According to time-course changes in the symptoms, patients attributed an erroneous significance to normal oral tissues, by which the lingual tonsil and lingual papilla were recognized as abnormal. They also showed signs of “ cancerphobia” because they were in the cancer-associated age group or had a past or present history of cancer in their near relatives. These findings, which are three important causative factors of this condition, were found to be common
著者
高橋 正身 宮岡 等 板倉 誠 東 貞宏 山森 早織 片岡 正和
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

SNAP-25はシナプス前部に発現するタンパク質で、神経伝達物質の放出に必須な役割を果たしている。SNAP-25のSer^<187>はプロテインキナーゼCによってリン酸化を受けるが、その機能的な役割については明らかではなかった。今回SNAP-25のリン酸化がPP2Aによっても制御され、モノアミン放出の制御や発達期にけるてんかん発症抑制などに重要な役割を果たしていることを明らかにした。
著者
宮岡 等
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.675-678, 2005-09-01
被引用文献数
1

日本心身医学会が学会として心理士を認定する方向で動いているなか, (1)医師は心理士に何を求めるか, (2)本学会認定医療心理士制度が抱える問題を論じた.医療現場の心理士に対しては, 向精神薬療法が必要という判断, 身体疾患や薬物の副作用としての精神症状, 心理検査や心理療法の副作用などに関する知識を求めたい.医療心理士制度について, 医療現場で働く心理士に資格が必要であるという意見に異論はない.しかし, さまざまな心理士資格の中における位置づけ, 心身医学が対象とする範囲, 心身医学は心理士が関係しうる医療の中の限られた一分野に過ぎないこと, 申請者の経済面の負担, 国家資格との関係などを考えると, 本学会が現時点で独自に認定心理士を設けることには大きな疑問を感じる.会員全体を巻き込んだ精緻な議論がなされることを願う.(本稿は2004年6月4日のパネルディスカッションにおける発表をもとに執筆した)