- 著者
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緒方 裕大
南石 晃明
長命 洋佑
- 出版者
- 農業情報学会
- 雑誌
- 農業情報研究 (ISSN:09169482)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.1, pp.1-12, 2019 (Released:2019-04-01)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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農業経営における情報通信技術ICTの活用が進んでおり,今後もその重要性は増していくと考えられる.ICT機器の開発や試用は行われているが,ICTを活用している経営による費用対効果の評価を分析した研究は少ない.本稿では全国の農業法人経営を対象にしたアンケート調査をもとに,農業法人経営のICT費用対効果に対する評価の「背後に潜む構造」を明らかにした.まずICT費用対効果の潜在因子を抽出するために因子分析を行った結果,「生産の見える化」,「経営の見える化」,「利益確保」の3因子が抽出された.人材育成に対するICT活用の評価は「生産の見える化」,「経営の見える化」という2つの因子に高い因子負荷量を示しており,求める人材によって異なる因子の影響を受けることが示唆された.次いで,経営属性と因子との関係を分析した結果,ICT活用の評価が高いのは,経営類型別では「利益確保」における畜産経営であった.売上高別では「生産の見える化」と「経営の見える化」において売上高が高いほどICT活用の評価が高くなる傾向があり,「利益確保」においては「1–3億円」の経営が費用対効果が最も高かった.従事者数別では「生産の見える化」において従事者数が多いほどICT活用の費用対効果が高くなる傾向があった.