- 著者
-
羽下 哲司
鷲見 和彦
八木 康史
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
- 巻号頁・発行日
- vol.87, no.5, pp.1104-1111, 2004-05-01
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
-
23
木の揺れや,水面の乱反射等の背景変動のある屋外情景から,歩行者を検出する画像処理アルゴリズムを提案する.従来より,人のようにほぼ等速直線運動する対象は時空間的パス内での局所的な動きが強め合い,他の背景変動では弱め合うことに着目して,歩行者のみを検出する手法が提案されている.しかしこのような,時間平均した動きの強さを用いた判定では,移動対象の誤った関連付けや,高コントラスト領域の一時的な動きが平均値を引き上げ,誤報となるケースが見られる.本手法では,動きの特徴量として,時間平均した動きの強さに加えて,空間平均した動きの強さ,時間的な動きの一様性という特徴量を定義し,これら三つの特徴により構成される特徴空間で歩行者と他の背景変動とを識別する.実画像による評価で,提案手法は時間平均した動きの強さにのみ着目した従来手法に比べて誤検出率,未検出率ともに約1/3に低減できることを確認した.更に提案手法をオンラインで実現するシステム構築し,実環境で2週間にわたる評価試験を行った結果,失報率1%未満,誤報発生1日平均3件以下の性能を得ることができた.