著者
羽田 次夫 清瀬 篤信 高橋 重三 野村 春治 黒川 正隆
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.383-391, 1983
被引用文献数
1 3

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) の構造を明らかにするため, ディスパーション粒子を圧縮, 圧延して作った生テープの構造を熱分析 (示差熱分析, 熱機械分析), X線回折, 電子顕微鏡で調べた. 生テープはディスパーション粒子が圧着しており, X線回折図は配向を示す. 焼結時にほぼ無配向となり, 冷却により再びめいりょうな配向構造にもどる. 冷却速度を遅くすると, 圧延方向に平行な縞 (Striation) を持つバンド構造が割断面に現れる. 焼結時間が長くなると配向構造から無配向構造へと変化する. 熱機械測定によって, PTFE生テープは溶融状態においてさえ, 焼結前の履歴を長く保っていることが明らかになった. 十分に履歴を解消するには約450℃の高温または低温で長時間, 例えば370℃で2時間以上の焼結が生テープでは必要である.