著者
白永 伸行 羽迫 広人 相津 康宏 山本 健人 佐藤 立人 白永 純子 猪熊 壽
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.291-295, 2019-05-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
15

犬バベシア症流行地においてBabesia gibsoni(B. gibsoni )不顕性感染状況を調査した.臨床上健康な犬500頭のうちB. gibsoni 特異的PCR陽性38頭(7.6%)を不顕性感染とした.不顕性感染犬の平均年齢(9.2歳)は,PCR陰性でB. gibsoni 感染症既往歴のない犬(7.4歳)に比べて高かった.不顕性感染犬の97.4%は外出する犬であった.B. gibsoni 感染症既往歴のない犬で外出する275頭を解析したところ,不顕性感染犬においてマダニ予防薬を適切に使用されていた犬の割合(6.3%)は非感染犬(44.8%)に比べて有意に低かった.外出とマダニ予防不徹底はB. gibsoni 感染リスクを高めると考えられた.不顕性感染犬の赤血球数,血球容積,ヘモグロビン濃度及び血小板数は非感染犬より低値を示し,B. gibsoni 不顕性感染は犬の血液性状に影響を及ぼしていた.