著者
荻野 祐一 小幡 英章 肥塚 史郎 戸部 賢 関本 研一 齋藤 繁 木村 裕明
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.465-469, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
9

FiRST(fibromyalgia rapid screening tool)は,線維筋痛症(FM)を効率よく検出するために開発された問診表で,6項目の「はい・いいえ」で答える簡単な問診からなる.われわれは,原著者から許可を得たのち,FiRST日本語版を作成した.当科ペインクリニック外来において日本語版を用いたアンケート調査を行い,全71名の慢性痛患者から回答を得た.原著と同様,6項目中5項目以上陽性(「はい」と答える)をCut-off値とすると,FiRSTの6項目すべてにおいて,FMと他の慢性痛疾患群との群間比較で有意差を認め,感度は100%(11/11名),特異度は74.4%(51/60名)であった.FiRSTの6項目の問診は,線維筋痛症の実体をよく表していると考えられた.
著者
中島 邦枝 肥塚 史郎
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.345-348, 2017-10-25 (Released:2017-11-08)
参考文献数
13

小児における下腿の複合性局所疼痛症候群症例に対し,薬物療法と鏡療法の併用が有効であったので報告する.症例は11歳,男児.持久走中に転倒し右足関節を受傷した.近医に通院するも軽快しないため受傷から3カ月後当院へ紹介となった.受診時,右足関節以下に強いアロディニアと右足優位に冷感を認めた.関節可動域は完全に制限されていた.わずかな運動でも痛みを強く訴え,数値評価スケール(numerical rating scale)は10/10であった.プレガバリンの内服を開始し,増量後多少の効果が認められた.鏡療法の併用とクロナゼパムの追加投与を行ったところその3週間後にはアロディニアが軽減し,6週間後には部分歩行が可能となりプレガバリンを減量した.初診後11週で歩行が可能となりクロナゼパムの内服を中止した.初診時より6カ月後の受診時では日常生活は問題なく,痛みがないためプレガバリンの内服を中止した.その後1年半以上経過したが再発はみられていない.小児の複合性局所疼痛症候群では,診断の遅れが重症化に影響するため早期の診断が重要であり,集学的に治療する必要性が高いと考えられた.