著者
田辺 潤 谷口 真 肥後 敦子 小橋 吉博 米山 浩英 矢野 達俊 木村 丹 沖本 二郎 田野 吉彦 松島 敏春
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.545-550, 1996-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
17

急性重症肺炎患者の臨床像を知る目的で, ICUでの治療を必要とした肺炎患者51名と一般病棟で治療され治癒した肺炎患者52名を比較検討した。また予後に関与した因子を知る目的でICUの肺炎患者を生存, 死亡群に分けて比較検討した。ICUの肺炎患者はICU人室時, 病棟の肺炎患者は入院時の (1) 年齢・基礎疾患,(2) 臨床症状,(3) バイタルサイン,(4) 血液・生化学検査,(5) 胸部X線上の浸潤影の拡がり, (6) 酸素療法の有無, 加えて (7) 転帰, および (8) ICUの肺炎患者では生存, 死亡群に分けた転帰を比較検討した。その結果, ICUの肺炎患者の臨床像の特徴として (1) 臨床症状として呼吸困難と中枢神経症状,(2) バイタルサインとして頻脈と頻呼吸,(3) 臨床検査値として低アルブミン血症,(4) 胸部X線で浸潤影の広い拡がり,(5) ICUの死亡例でのアシドーシスの存在を認めた。したがって以上の所見を認めた場合には重症肺炎と考え, ICUで管理のうえ, 治療を開始する必要があると思われた。