著者
谷口 真生子
出版者
大阪音楽大学
雑誌
大阪音楽大学研究紀要 (ISSN:02862670)
巻号頁・発行日
no.53, pp.62-73, 2015-03-01

ガットマンモーネは、イタリアで品行の悪い子どもに対する脅かしのために引き合いに出される怪物のことである。ガットマンモーネの名称とその存在はディーノ・ブッツァーティの作品から知った。どうやらイタリア以外の国では見かけない怪物のようであり、さまざまな描写や解釈がなされているようである。本稿ではガットマンモーネという名称とその履歴をイタリアの怪物にからめて考察し、さらに数種類のガットマンモーネについてを記述し、ガットマンモーネとは何であるか、という到達目標に向かう途中経過を報告するものである。
著者
谷口 真吾 橋詰 隼人 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.340-345, 2003-11-16
参考文献数
17
被引用文献数
1

鳥取大学蒜山演習林のトチノキ林において,果実の成熟過程における落果時期と内部形態の解剖学的な観察をもとに,発育途中における未熟果実の落下原因を調べた。未熟果実は6月中旬から7月下旬までの間に全体の80〜90%が落下した。未熟落果の形態として,「虫害」タイプ,「胚珠の発育不全」タイプ,「種子内組織の崩壊」タイプ,「胚珠の発育不全」タイプの四つが挙げられた。虫害による未熟落果は6月と7月下旬以降に多く発生した。6月の虫害は果肉摂食型幼虫によるもの,7月下旬以降の虫害は子葉摂食型幼虫によつものであった。「胚珠の発育不全」タイプの落果は主に6月にみられ,受粉・受精の失敗によって胚珠が種子に成長しなかったことが原因として考えられた。「種子内組織崩壊」タイプの落果は7月上旬以降にみられ,種子内の組織が死滅して内部が空洞化していた。「胚の発育不全」タイプの落果は7月下旬以降にみられ,胚の発育が途中で止まったものであった。トチノキの未熟落果の大部分を占める「胚珠の発育不全」と「種子内組織の崩壊」は,落下果実の内部形態から判断して,「胚珠の発育不全」タイプは受粉・受精の失敗が主要因であり,「種子内組織の崩壊」タイプは資源制限による発育中断が主要因である可能性が高いと考えられた。
著者
谷口 真由美
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

日本の少子化が進行している背景の一つには、「リプロダクティブ・ライツ」が保障されていないことが挙げられる。また、何故それが保障されていないのかといえば、「リプロダクティブ・セキュリティ(性と生殖の安全保障)」が確保されていないからであると考える。女性やカップルは、子どもを「産まない」という理由だけではなく、「産めない」(産みたいのに産めない・産んでも育てられない)という事情がある。安心して産める・生んで育てられる社会とはどのような社会なのか。リプロダクティブ・ライツやリプロダクティブ・セキュリティの観点から明らかにする。
著者
藤本 潔 小野 賢二 渡辺 信 谷口 真吾 リーパイ サイモン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.はじめに<br><br> マングローブ林は、地球上の全森林面積の1%にも満たないが、潮間帯という特殊環境下に成立するため、他の森林生態系に比べ、地下部に大量の有機物を蓄積している。しかし、その主要な供給源である根の生産・分解プロセスは不明のままであった。そこで本研究では、主として細根の蓄積・分解速度を、樹種別、立地環境別に明らかにすることを目的とする。対象地域は、熱帯湿潤環境下のミクロネシア連邦ポンペイ島とマングローブ分布の北限に近い亜熱帯環境下の西表島とする。対象樹種は、アジア太平洋地域における主要樹種で、ポンペイ島はフタバナヒルギ(<i>Rhizophora<br>apiculata</i>)、ヤエヤマヒルギ(<i>Rhizophora stylosa</i>)、オヒルギ(<i>Bruguiera<br>gymnorrhiza</i>)、マヤプシキ(<i>Sonneratia alba</i>)、ホウガンヒルギ(<i>Xylocarpus<br>granatum</i>)、西表島はヤエヤマヒルギ、オヒルギとする。<br><br>2.研究方法<br><br> 各樹種に対し、地盤高(冠水頻度)の異なる海側と陸側の2地点に試験地を設置し、細根蓄積速度はイングロースコア法、分解速度はリターバッグ法で検討した。イングロースコアは径3cmのプラスティック製で、約2mmのメッシュ構造となっている。コアは各プロットに10本埋設し、1年目と2年目にそれぞれ5本ずつ回収した。コア内に蓄積された根は生根と死根に分け、それぞれ乾燥重量を定量した。コア長は基盤深度に制約され20~70cmと異なるが、ここでは深度50cmまで(50cm未満のコアは得られた深度まで)の値で議論する。リターバッグにはナイロン製の布を用い、径2㎜未満の対象樹種の生根を封入し、各プロットの10cm深と30cm深に、それぞれ3個以上埋設した。<br><br>3.結果 <br><br> 1) 細根蓄積速度<br><br> ポンペイ島では、現時点でフタバナヒルギとヤエヤマヒルギ陸側の2年目のデータが得られていないため、ここでは1年目のデータを用いて検討する。細根蓄積量(生根死根合計)は、海側ではいずれの樹種も40~50 t/ha程度であったが、陸側では、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキ、およびオヒルギが25 t/ha前後と相対的に少なかった。樹種毎に海側と陸側で比較したところ、フタバナヒルギの死根と生根死根合計、マヤプシキの生根と生根死根合計、オヒルギの生根死根合計で海側の方が陸側より有意に多かった。樹種間で比較すると、海側の生根はマヤプシキが有意に多かった。陸側の死根は、ヤエヤマヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあり、陸側の生根死根合計は、ヤエヤマヒルギとホウガンヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあった。海側の死根は、マヤプシキがヤエヤマヒルギ、オヒルギ、ホウガンヒルギより有意に少なかった。<br><br> 西表島の1年目の細根蓄積量は、ヤエヤマヒルギが海側で6 t/ha、陸側で9 t/ha、オヒルギが海側で4 t/ha、陸側で6 t/haであった。海側と陸側で比較すると、1年目、2年目共、いずれの樹種も有意差はみられなかったが、樹種間では2年目の陸側生根でヤエヤマヒルギがオヒルギより有意に多かった。標高がほぼ等しいヤエヤマヒルギの陸側とオヒルギの海側では有意差はみられなかったが、ヤエヤマヒルギの海側とオヒルギの陸側では前者が有意に多かった。<br><br> ポンペイ島と西表島で比較すると、ポンペイ島の方がヤエヤマヒルギで約7倍、オヒルギで4~7倍多かった。ただし、地上部バイオマスは、西表島のヤエヤマヒルギ林が80 t/ha、オヒルギ林の海側が54 t/ha、陸側が34 t/haであるのに対し、ポンペイ島のヤエヤマヒルギ林は216 t/ha、オヒルギプロットの林分は499 t/haであった。すなわち、地上部バイオマスはポンペイ島の方がヤエヤマヒルギ林で約2.7倍、オヒルギ林で9.2~14.6倍多く、ヤエヤマヒルギは地上部の相違以上に地下部の相違が大きいのに対し、オヒルギは地上部の相違ほど地下部の相違は大きくなかった。<br><br>2)分解速度<br><br> ポンペイ島におけるリターバッグ設置1年後の残存率は、ヤエヤマヒルギの海側10cm深で7.7%と極端に低く、フタバナヒルギの陸側30cm深とオヒルギは60~85%と相対的に高かった。他の樹種はおおよそ40~50%程度であった。西表島はいずれも50~60%で有意差はみられなかった。
著者
谷口 真吾 尾崎 真也
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-6, 2003
参考文献数
26
被引用文献数
4

兵庫県氷ノ山山系におけるブナ・ミズナラの結実変動と氷ノ山山系周辺地域の人里におけるツキノワグマ目撃頭数の関係を検討した。ブナ・ミズナラ堅果の結実は、ブナまたミズナラのどちらか、あるいは両者がともに良好な年は、ツキノワグマの目撃頭数は調査期間の5カ年月年の平均値よりも少なく、逆にブナ、ミズナラ堅果の結実が不良な年は、目撃頭数が多い傾向であった。このことは、ツキノワグマの秋の人里への出没回数は、ブナ・ミズナラの結実変動に大きく左右されることを示しているといえる。
著者
徳永 朋祥 浅井 和見 中田 智浩 谷口 真人 嶋田 純 三枝 博光
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.279-287, 2001-11-30
被引用文献数
2 2

沿岸海底下からの地下水採取技術の開発を行った.ここでは.潜水作業を行うことができるダイバーによって調査が可能な水深(約30から40m)程度までの領域において.海水との混合を防ぎ.かつ大量の地下水採取を可能にすることを目的とした.具体的には.海底下に長さ60cm程度の採水用針を刺し.複数の三方コックとプラスチックシリンジ.マイラーバッグを組み合わせることにより.1回の作業で1リットル以上(最大2リットル程度)の採水を行うことを可能にした.この手法を.黒部川扇状地沖合の淡水湧水地点において適用した.その結果.本手法では.海水との混合をすることなく淡水の地下水を採取することが可能であることを確認した.また.今回の採水では.採水地点(2個所)から各々約1リットルの地下水を採水することができた.採取された地下水の主成分組成および安定同位体の値は.今までに黒部川扇状地の陸域で報告されている値と調和的であった.
著者
谷口 真人
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.261-267, 1995
被引用文献数
7

琵琶湖野洲川河口あやめ浜沖において,周辺地下水から琵琶湖へ漏出する地下水量の連続測定を,自記地下水漏出量計を用いて行った。観測期間は1994年3月から1994年10月までであり,合計17,747個の地下水漏出量データと,湖水位及び湖底・周辺地下水の水理水頭のデータを得た。降水量の減少に伴う湖底地下水の動水勾配の低下により,1994年4月から1994年8月にかけて,地下水漏出量の大幅な減少が確認された。また,地下水漏出量と湖底地下水の動水勾配の長期測定により,観測地点の湖底付近の地下水帯水層の透水係数が9.0×10<SUP>-4</SUP>cm・sec<SUP>-1</SUP>程度であることが推定された。今回得られた地下水漏出量および1990年・1991年に得られた漏出量とそれぞれの時期の雨量との関係から,琵琶湖への地下水漏出量は,流域への入力である降水量に大きく依存していることが明らかになった。
著者
日暮 悠樹 谷口 真吾 松本 一穂
出版者
日本森林学会
巻号頁・発行日
pp.234, 2016-07-08 (Released:2016-07-19)

【研究目的】亜熱帯広葉樹林の天然下種更新地での微地形の違いが更新実生の動態に及ぼす影響を4成長期間、継続的に調査した。【方法】調査地は、沖縄島北部の70年生常緑広葉樹林(2011年10月に4.8haを皆伐)と伐採地に隣接する残存林である。調査は、残存林内の林床と伐採面の微地形(凹、凸)ごとの林床に実生調査プロット(凹斜面16㎡、凸斜面16㎡、林内12㎡)を設置し、2012年から2015年までの成長期ごとに林床に発生した実生をナンバーリングした。【結果と考察】更新実生の凹斜面での出現種数は成長期ごとに増加し、遷移後期種の定着が年々増加した。凹斜面の成長期ごとの出現本数は凸斜面に比べて1.3から1.9倍多かった。一方、更新実生の凸斜面での出現種数は4成長期とも凹斜面よりも多かった。凸斜面の出現本数は4成長期とも凹斜面、林内よりも少なかった。凹、凸斜面における更新実生の平均樹高は成長期ごとに常に凹斜面が凸斜面よりも高かった。また、凸斜面は凹斜面に比べて、更新実生の成長が遅い傾向であった。この結果、凹斜面は凸斜面に比べ、遷移後期種が新規に加入、定着後に成長しやすい環境であると推察された。
著者
谷口 真人
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

地下温暖化が桜の開花にどのような影響を与えるかを明らかにするために、開花の変化トレンドと、地温の経年変化トレンドを明らかにした。桜の開花は日本の103箇所の平均で過去50年に5日開花が早まっており、特に大都市の東京、大阪、名古屋でその開花早期化の傾向は強く、都市化によるヒートアイランド現象が大きな要因であることが明らかになった。桜の開花変化トレンドに最も相関性が高いのは、深度50cmの地温であることが明らかになった。またその開花の違いにおよぼす土壌水分および土壌水質の違いについても調査した。
著者
田原 大輔 杉本 亮 富永 修 谷口 真人
出版者
福井県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

小浜湾への地下水湧出量を222Rn・塩分の収支モデルから推定したところ、地下水は、全淡水流入量の4~44%を占めており、河川流量の低下する夏季にその割合が高くなる傾向にあった。また、地下水から供給される溶存無機態の窒素、リン、ケイ素は、全陸水由来の栄養塩輸送量の平均で39%、58%、37%を占めていた。特に小浜湾の一次生産はリン制限下にあるため、地下水によるリン供給は小浜湾の生物生産において重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
谷口 真吾
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

亜熱帯地域の沖縄県を中心とする沖縄島嶼域では、森林のもつ公益的機能の高度発揮のため計27種の有用樹を造林樹種として指定している。沖縄県はこれらの有用樹種を用いた人工造林や樹下植栽、育成天然林施業など多種多様な森林造成を積極的に推進している。しかしながら、指定樹種には開花結実、受粉・交配様式などの繁殖特性が未解明な樹種が大半を占めている。亜熱帯域の多様な樹種から構成される森林を維持し、種子の供給と確実な更新を安定的に促すためには、構成樹種ごとに個々の繁殖特性を主体とする生活史を解明することが急務である。そこで、本研究課題では亜熱帯性樹木の繁殖特性を明らかにするため、有用樹4種の開花フェノロジー、送受粉機構、結実機構について研究を行った。本研究で得られた知見は、有用樹の効率的な種子生産に寄与する成果であり、沖縄島嶼域の森林保全あるいは再生、さらには新規造成のための地元産種子による苗木生産、あるいは天然更新のための種子確保に不可欠となる種子生産技術の基礎的情報の体系化に極めて重要な成果を提供するものである。
著者
谷口 真吾 橋詰 隼人 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.305-311, 2003-11-16
参考文献数
25

鳥取大学林山演習林のトチノキで花芽の分化と発育を調査した。トチノキの花芽は毛状鱗片の内側の成長点が円形に肥厚して花芽原基になった。花芽原基は急速に成長して花軸の周りに次々に小花を形成し,その中に葯と子房が分化した。8月中旬〜下旬には葯内に胞子形成細胞が,子房内に胚珠の原基が形成された。9月中旬には花粉母細胞と卵状の胚珠が観察された。花粉は翌年の5月上旬に形成された。5月中旬には子房の先端部に花柱が分化し,花糸と花柱が伸長して両性花が完成した。胚珠の退化した花では花柱が伸長せずに,花糸のみ伸長し,雄ずいが完成して雄花になった。花芽は9月中旬に冬芽の形状により外観で葉芽と区別できた。
著者
谷口 真吾 本間 環 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.350-354, 2003-11-16
参考文献数
18

樹木の開芽の生理機構を明らかにすることを目的として,トチノキ(Aesculus lurbinata)休眠芽(頂芽および側芽)の伸長,開芽ならびに新条件発達に及ぼす10種類の植物成長調節物質処理の影響を調べた。頂芽の伸長はジベレリン(Gas)処理で著しく促進された。一方,2種のジベレリン生合成阻害剤(AMO1618,ウニコナゾール.P : UCZ-P)の処理区では抑制された。また側芽の伸長はGas処理で促進されるとともに,エスレル(ET),ジャスモン酸(JA-Me),AMO1618およびUCZ-P処理でも促進された。さらに頂芽と側芽の開芽はGasおよびJA-Me処理によって促進された。これらの結果,既定芽タイプであるトチノキの芽の伸長にはジベレリンが重要な役割を果たしているものと考えられる。また,開芽にはジベレリンとジャスモン酸が関与している可能性が高い。