著者
土利川 崇洋 肥田 朋子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0461, 2005 (Released:2005-04-27)

【緒言】中枢神経疾患および筋骨格系疾患のROM制限に対し、原因筋および原因筋と同髄節レベル筋に対する振動刺激療法が効果的であったことが、第38回学会で沼田らによって報告された。この効果を検証するため、今回、下腿三頭筋以外の筋への振動刺激が下腿三頭筋のH反射へどのような影響を及ぼすかを調べた。H反射はα運動神経の興奮性の指標となるほか、低周波数、高振幅の振動刺激によって抑制されることがDesmedtらによって報告されている。【対象・方法】対象は健常男性9名。実験には振動器(MyoVib)、筋電計(neuropack8)を使用した。振動器の周波数は30Hz、振幅は9mmだった。被検者は伏臥位で、記録電極をヒラメ筋の筋腹、電気刺激電極を膝窩の脛骨神経上に貼付した。振動刺激部位は全て検側で、僧帽筋(tra)、上腕三頭筋(tri)、Th12の部位の棘筋(Th)、L3の部位の多裂筋(L)、S1の部位の多裂筋(S)、大殿筋(glu)、大腿二頭筋(ham)に対して行った。刺激順序は1番目を振動刺激なし(c1)とした。2から9番目は上記部位を無作為に選択し、10番目は振動刺激なし(c2)とした。c1ではM波最大値(Mmax)も測定した。H反射測定時間は30秒から1分とし、この間振動刺激は持続して与えた。各施行の間隔は2分以上とした。データ処理は、各施行で複数得られたH反射振幅を読み取り、その振幅に対するMmaxの割合(H/Mmax)を算出し、それらの平均値を各施行の代表値とした。統計処理には一元配置分散分析を用いた。有意水準は5%未満とした。【結果】L・S・glu・hamのH/Mmaxはc1、c2・tra・tri・Thのそれに比べ有意に減少したが、L・S・glu・hamのそれは互いに有意な差がなかった。【考察】本研究の結果より、L・S・glu・hamの各部位における振動刺激が下腿三頭筋H反射を抑制させることが分かった。これは各筋に対する振動刺激が求心性にインパルスを送り、脊髄や上位中枢を介し、下腿三頭筋のα運動神経の興奮性が抑制されたと考えられる。これらのうちS・glu・hamは下腿三頭筋と同じ髄節レベルの神経支配であることから、同髄節支配筋間では相互影響が大きいことが推察された。またS・glu・hamは互いに有意な差がなかったことから後枝支配筋であるSも、前枝支配筋であるgluやhamと同様の影響を及ぼすということが分かった。このことより同髄節の後枝神経筋と前枝神経筋の相互影響もあることが推察された。今回の結果は沼田らの報告と一致していた。これらのことより理学療法を行う際、ある筋への介入が同髄節の前枝・後枝筋へ効果を与えられること、また逆にある筋に異常が生じている場合、その筋が直接原因ではなく同髄節の前枝・後枝筋が原因筋であり得ることが示唆された。よって臨床において特定の筋にのみ注目するのではなく、同髄節レベルの筋群も診て注意深く治療を進めていく必要があると考える。
著者
山本 綾 古島 泰子 長谷川 多美子 肥田 朋子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.305-311, 2009-10-20
被引用文献数
3

【目的】不動状態に伴う痛みは,疾患特異的なものだけでなく,不動化で引き起こされた可能性がある。そこで,ギプス固定による不動化モデルラットについて疼痛行動評価を行うとともに,活動量を調べた。【方法】慢性絞扼ラットの両側後肢をギプス固定したCCI固定群,一側後肢を固定した片肢固定群,両側後肢を固定した両肢固定群,無処置のコントロール(CON)群に分け,疼痛行動,ROM制限,筋萎縮を調べた。また,片肢固定群,両肢固定群,CON群の活動量を調べた。【結果】アロディニア・痛覚過敏がCCI固定群,両肢固定群,片肢固定群の順に発生した。ROM制限,筋萎縮は固定群間で有意な差はなかった。活動量は両肢固定群,片肢固定群の順に有意に少なかった。【結論】固定群全てで痛みが生じたことから不動化は痛みを引き起こすと考えられた。また,活動量の少ない群に痛みの発生が早く認められたことから全身活動量も痛みの発生に影響することがわかった。