著者
中本 英里 胡 柏
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.319-333, 2016-03-25 (Released:2017-07-06)
参考文献数
39

本研究は,農業の多面的機能の1つである医療的・福祉的機能が,ひきこもり者の社会復帰支援に果たす役割を検討する.方法として,10カ月間のひきこもり者の農園芸活動の事例を基に,効果を評価するための理論的枠組みを園芸療法的手法および実験社会科学的手法により整理した.結果として,農園芸活動が心身の健康回復に寄与し,集中力,コミュニケーションスキル,動作速度の改善をもたらしたことが確認され,実施条件が満たされた場合,これらが社会復帰支援における重要な効果となり得ることが示唆された.また,より多くのひきこもり者の存在を考慮すれば,農業と医療・福祉分野の連携強化を踏まえた広域的な支援体制整備が必要になると考えられた.
著者
山藤 篤 胡 柏
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.47-53, 2008-06

本報告は、農産物のインターネットを駆使した販売(以下ではネット販売とする)について、柑橘を事例にとりあげる。柑橘の消費者向けネット販売の実態を、出荷組織のネット販売開始の目的と経緯についての比較分析し、今後の課題を明らかにしたい。事例研究の対象としたのは、愛媛県の農協系統の県レベルの出荷団体である「県農えひめ」(現「全農えひめ」)と、愛媛県下の温州ミカン銘柄産地である八幡浜市及び西宇和郡を事業エリアとするJA西宇和農業協同組合、及びこの農協管内で最優秀産地のひとつとされる真穴(まあな)柑橘共同選果部会である。