著者
村野 多可子 青木 ふき乃 脇 雅之 椎名 幸一 石原 克己 小俣 友紀子
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.171-180, 2001-02-25
被引用文献数
6

市販Salmonella Enteritidis(SE)不活化油性アジュバントワクチン(SEワクチン)の生産性に及ぼす影響と有効性について検討した。採卵鶏5銘柄を各々100羽づつ供試し,各銘柄の50羽に104日齢でSEワクチンを肩部皮下接種した。その後,474日齢まで体重,飼料摂取量,産卵諸性能,抗体価を経時的に調査した。生産性に及ぼす悪影響は各銘柄とも接種後1週以内に最も顕著に認められたが,回復状況は銘柄により異なり,銘柄4のように初期産卵まで影響が継続するものもあった。抗体の産生性と持続性は銘柄により大きく異なり,銘柄1はピークも低く,持続性も悪かったが,銘柄3は調査終了時でも高い値を示した。さらに475日齢に各銘柄のワクチン接種群と無接種対照群の各々8羽にSE ZK-2a株のリファンピシン耐性株を経口接種により攻撃した。その結果,拝菌数は銘柄2,3,5で,調査日によりワクチン接種群と無接種対照群の間で有意な差が認められたが,肝臓,脾臓,卵巣,卵管における生菌数は各銘柄とも明らかな差はみられなかった。以上の成績からSEワクチンの使用にあたっては,鶏の銘柄によってワクチン接種に対する応答の異なることを考慮する必要のあることが示唆された。