著者
浦山 久嗣 戸ヶ崎 正男 鳥谷部 創治 石原 克己
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.392-410, 2011 (Released:2012-02-06)
参考文献数
47

1997年版の『厚生白書』では、未病という言語を「疾病の予防管理」という意味で記されている。一方中国では、2006年「治未病」政策5カ年計画、2008年「治未病」プロジェクトにおいて、生活習慣病改善と医療費削減のため、 方針は予防・養生・保健重視へと質的に変わった。 「治未病」 につて、『素問』『霊枢』では予防・養生及び疾病の発病段階での初期・早期治療の意味で記され、 『難経』『金匱要略』では疾病の変化を予測し、病の伝変防止の意味で記され、一貫堂医学などでは体質改善の意味で記されている。 今回のシンポジウムで私は、被災地ボランティア活動報告及び、 マクロ的視点から医学・医療の現況 (現代と健康問題)、「健康・病・自己治癒力の関係」「治未病」 「道・命の世界」、中国の「治未病」政策に触れた。シンポジストには「治未病」の史的究明、日本における「治未病」と「未病治」といった用語の問題及び「治未病」の臨床実践として、自己治癒力と全体治療をベースにした上での養生法の一部、 初期治療、 病の伝変防止、 体質改善への取り組み、 「人迎気口診」と「脈状と病態」から初期治療の成果を述べていただいた。 これからの鍼灸界・人類一人一人の命の質、健康、幸福、医療経済などを考えた時、今回の「治未病」のシンポジウムの内容が医療・医学会並びに医療従事者、病む人など一人一人に大きな示唆を与えることが出来れば幸甚である。
著者
村野 多可子 青木 ふき乃 脇 雅之 椎名 幸一 石原 克己 小俣 友紀子
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.171-180, 2001-02-25
被引用文献数
6

市販Salmonella Enteritidis(SE)不活化油性アジュバントワクチン(SEワクチン)の生産性に及ぼす影響と有効性について検討した。採卵鶏5銘柄を各々100羽づつ供試し,各銘柄の50羽に104日齢でSEワクチンを肩部皮下接種した。その後,474日齢まで体重,飼料摂取量,産卵諸性能,抗体価を経時的に調査した。生産性に及ぼす悪影響は各銘柄とも接種後1週以内に最も顕著に認められたが,回復状況は銘柄により異なり,銘柄4のように初期産卵まで影響が継続するものもあった。抗体の産生性と持続性は銘柄により大きく異なり,銘柄1はピークも低く,持続性も悪かったが,銘柄3は調査終了時でも高い値を示した。さらに475日齢に各銘柄のワクチン接種群と無接種対照群の各々8羽にSE ZK-2a株のリファンピシン耐性株を経口接種により攻撃した。その結果,拝菌数は銘柄2,3,5で,調査日によりワクチン接種群と無接種対照群の間で有意な差が認められたが,肝臓,脾臓,卵巣,卵管における生菌数は各銘柄とも明らかな差はみられなかった。以上の成績からSEワクチンの使用にあたっては,鶏の銘柄によってワクチン接種に対する応答の異なることを考慮する必要のあることが示唆された。