著者
近藤 秀和 高橋 尚彦 脇坂 収 岡田 憲広 油布 邦夫 中川 幹子 原 政英 犀川 哲典 谷口 弥生 大家 辰彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.S3_74-S3_74, 2011

[目的] ATP感受性心房頻拍(Iesaka AT)の電気生理学的特性について検討した.<BR>[方法] EPSでATP感受性心房頻拍と診断した10症例(年齢69±21歳, 男性5名, 女性5名). ATP(5mg)急速静注によるAT停止直前のAT-CL延長の程度と, AT中の最早期興奮部位の電位のfragmentationの有無を検討した.<BR>[結果] (1)最早期興奮部位での心房電位が明らかなfragmentationを示した症例は5例〔frag(+)群〕, そうでなかった症例は5例〔frag(−)群〕であった. (2)すべての症例で, ATP静注後, AT-CLが延長して頻拍を呈したが, 停止直前のAT-CL延長の程度は, frag(+)群の方が, frag(−)群に比し軽度であった(11.2±12.8 vs 38.6±16.1ms, p<0.01). (3)頻拍中の3D-Electro Anatomical Mappingを5例で行った〔3例がfrag(+)群, 2例がfrag(−)群〕. frag(+)群では, 最早期興奮部位近傍にlow voltage zoneが認められ, これに一致して伝導遅延が認められた. 一方, frag(−)群ではこれらの所見を認めなかった.<BR>[結語] ATP感受性ATは, 最早期興奮部位でのfragmentationの有無によりATPによる停止様式が異なり, 2つのカテゴリーに分類できる可能性が示唆された.