著者
高階 經和 山科 章
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.691-697, 2012

いまやプロ野球界では世界的に有名になったマリナーズのイチロー選手ですが,循環器教育領域でイチローといえば,誰もが知っている,すぐれた心臓病患者シミュレータ「イチロー」のことです.それはまだ野球のイチロー選手がデビューする前に,制作者である高階經和先生によってこのシミュレータに名付けられたものでした.<BR> 今回は,臨床だけでなく循環器医学教育にも大きな影響を及ぼした高階先生をゲストに,医師であった父のことやアメリカでの恩師との出会い,イチローの誕生と医学教育について,さまざまなお話をおうかがいしました.
著者
荒川 規矩男 代田 浩之
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.831-841, 2009

荒川規矩男先生は世界で初めてヒトアンジオテンシンの単離に成功し, 構造決定を行いました. その後もヒトアンジオテンシン-II生成バイパス, キニン・テンシン系などを発見されました. また, 活躍の場所を福岡大学に移されると運動療法による降圧効果の研究, 食塩と血圧の研究をされてきました. 国際高血圧学会や高血圧治療ガイドラインにも関わられるなど国際的にも高血圧分野において多大なる功績を残されました.<BR>今回のMeet the Historyは, その荒川規矩男先生をゲストに, 本誌編集委員の代田浩之先生をホストとして, 逆境のなかで研究に邁進された荒川先生の半生をお伺いしました.
著者
近藤 秀和 高橋 尚彦 脇坂 収 岡田 憲広 油布 邦夫 中川 幹子 原 政英 犀川 哲典 谷口 弥生 大家 辰彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.S3_74-S3_74, 2011

[目的] ATP感受性心房頻拍(Iesaka AT)の電気生理学的特性について検討した.<BR>[方法] EPSでATP感受性心房頻拍と診断した10症例(年齢69±21歳, 男性5名, 女性5名). ATP(5mg)急速静注によるAT停止直前のAT-CL延長の程度と, AT中の最早期興奮部位の電位のfragmentationの有無を検討した.<BR>[結果] (1)最早期興奮部位での心房電位が明らかなfragmentationを示した症例は5例〔frag(+)群〕, そうでなかった症例は5例〔frag(−)群〕であった. (2)すべての症例で, ATP静注後, AT-CLが延長して頻拍を呈したが, 停止直前のAT-CL延長の程度は, frag(+)群の方が, frag(−)群に比し軽度であった(11.2±12.8 vs 38.6±16.1ms, p<0.01). (3)頻拍中の3D-Electro Anatomical Mappingを5例で行った〔3例がfrag(+)群, 2例がfrag(−)群〕. frag(+)群では, 最早期興奮部位近傍にlow voltage zoneが認められ, これに一致して伝導遅延が認められた. 一方, frag(−)群ではこれらの所見を認めなかった.<BR>[結語] ATP感受性ATは, 最早期興奮部位でのfragmentationの有無によりATPによる停止様式が異なり, 2つのカテゴリーに分類できる可能性が示唆された.
著者
小川 晋平 名取 俊介 野村 智昭 芳賀 智顕 羽根田 俊 長谷部 直幸
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.S2_157-S2_157, 2010

症例は63歳, 男性. 高血圧, 高尿酸血症にて近医通院中だったが, 内服中のCa拮抗薬を数日間自己中断していた. 2009年3月上旬, 12時30分頃から前胸部痛が出現し近医を受診. 13時頃, 心電図を記録中に心肺停止状態となり, そばに付き添っていた元看護師の妻が心臓マッサージを開始, 救急隊到着時の意識状態はJCS III-300, 自発呼吸は認めず. 自動体外除細動器で心室細動と診断され, DC 360J×1回で心拍再開後, 前医に搬送された. 13時20分, 前医到着時の意識は清明, 自発呼吸も認められており, 心電図も近医で認められたST上昇は回復していた. 冠攣縮性狭心症, 致死性不整脈の疑いで当院に再搬送となった. 硝酸薬の点滴, Ca拮抗薬の再開で入院後は胸痛発作は認めず, 不整脈も出現しなかった. 内服継続下でのAch負荷試験, 心室頻拍誘発試験はいずれも陰性であり, 今回は植込み型除細動器の使用は見送った. 冠攣縮自然発作の心電図が記録されている稀な心室細動からの救命例であり報告する.
著者
斧田 尚樹 野並 有紗 高橋 重信 矢部 敏和 土居 義典
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.485-490, 2012

症例は50歳, 女性. 長距離バス(京都—高知) 下車直後に突然, 意識消失, 皮膚蒼白となり当院に救急搬送された. 搬送時, ショック状態(血圧84/50mmHg)および低酸素血症(SpO<sub>2</sub> 80%: 酸素10L投与下)であった. 心エコーにて右心負荷所見がみられ, 胸部造影CTにて両側肺動脈に血栓像を認め急性広範型肺血栓塞栓症と診断した. 一時, 心肺停止となったがモンテプラーゼが著効し, 後遺症なく独歩にて自宅退院した.
著者
村上 英徳 村上 暎二 竹越 襄 松井 忍
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.1173-1180, 1984

砂時計型を呈する大動脈弁上狭窄症の2症例の臨床的特徴について報告する.第1症例は,約20年前より心雑音を指摘されている43歳女性,美容師で,今回,胸部圧迫感と失神発作を主訴に入院した.本症例では大動脈弁狭窄症の合併がみとめられた.第2症例は小学校入学時の健康診断時に心雑音を指摘されていた17歳女性,学生である.本例は本学胸部外科にて手術し良好な経過を示している.2症例共,左右冠状動脈起始部近くに動脈瘤を認めた.また第1例は本邦報告例中最も高齢であり,大動脈弁狭窄症の合併は本邦初例である.
著者
永井 克也
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.987-1000, 2000

哺乳類の概日リズムの体内時計は脳視床下部視交叉上核(SCN)に存在する.筆者らはSCNに自律神経と内分泌系を制御して血糖調節に関与するニューロンが存在することを明らかにした.SCNから膵臓,肝臓と副腎へ投射する自律神経経路が存在することを示す結果も得ているので,SCNはこの経路を介して血糖調節を含むエネルギー代謝調節に関与すると考えられる.低血糖状態の体内環境や明暗などの体外環境の情報を得て,体内時計の時刻情報に依存して,SCNニューロンは自律神経系を制御する.筆者らは,阪神大震災の際に体内時計が乱れて,その位相(時刻)が大きく移動すると共に,体外環境の明暗周期による体内時計の同調が起こらなくなる(時差ぼけ時のような)状態にマウスが陥ったことを認めている.したがって,冬季うつ病や不登校などの患者における体内時計の乱れによる時差ぼけ状態が,体内外の環境情報によるストレス刺激によって引き起こされることは十分に考えられる.ヒトの光照射が心拍数を変化させることが報告されているので,自律神経経路を介するSCNによる心臓機能の調節機構の存在も予想される.
著者
青野 潤 渡辺 浩毅 東 晴彦 稲葉 慎二 池田 俊太郎 濱田 希臣
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.346-352, 2006

症例は68歳,男性.高血圧と糖尿病で近医に通院治療中であった.2004年8月4日に全身倦怠感を主訴に当科外来を受診した.外来時のトレッドミル負荷心電図でII・III・<SUB>a</SUB>V<SUB>F</SUB>のST低下を認めたため,ATPタリウム心筋シンチグラフィを施行した.下壁の取り込み低下と後期像で同部位の再分布現象を認めたため,9月9日に心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈造影では右冠動脈seg.1の慢性完全閉塞を認めた.ワイヤーをIntermediateからShinobi,Conquestに変更しExelsiorのバックアップ下でワイヤーを通過させた.Sprinter(1.5×15mm)で拡張後,血管内視鏡による観察を行った.病変部はワイヤーによる内膜損傷や小さなフラップが観察された.Seg.1~2にDriver(4.0×30mm),seg.2~3にPenta(3.5×28mm)を留置し終了した.PCI後の内視鏡ではフラップやプラークをステントが押さえつけている所見が観察された.今回われわれは慢性完全閉塞の病変部を内視鏡で観察し得た1例を経験したので報告する.
著者
岡田 雅彦 中村 雄二 古田 博文 斉間 恵樹 松尾 史朗 岸本 道太 埴岡 啓介 浅野 正英 由谷 親夫
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.881-886, 1988

著明な右室の拡張を呈し右心不全に慢性腎不全を合併して死亡した1剖検例につき,生前の諸検査所見および剖検所見から右室の障害を主徴とする拡張型心筋症の症例と考えられたので報告する.症例は67歳女性で全身浮腫を主訴として入院.入院時現症にて全身浮腫,腹水の他に心聴診上三尖弁領域に全収縮期雑音を聴取.胸部X線上心拡大を,また心エコー図にて右房,右室の著明な拡大を認めたが左室の拡大はなく左室壁運動も正常であった.右心カテーテル検査では右房,右室圧の上昇を認めたが肺動脈は正常,また左右短絡所見は得られなかった.これらの所見から右心不全の原因として孤立性三尖弁閉鎖不全および右室異形成症が疑われたが,剖検所見からいずれも否定された.剖検所見は,右室は著明なびまん性拡張を示し左室の拡張はなく,心筋組織所見上は左室に比して右室により高度なびまん性病変を認めた.拡張型心筋症の病態は一般に左室の拡張と収縮障害を主徴とするものと考えられているが,左室の障害が軽度ないしほとんど存在せずに高度の右室の障害を示す拡張型心筋症の報告例も本邦および海外において散見され,自験例を含めて右室型拡張型心筋症と考えるべき症例がまれに存在するものと思われる.
著者
井上 博
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.191-201, 1995

QT時間の延長は特発性QT延長症候群や抗不整脈薬によるtorsade de pointes発生との関係で重要視されている.III群薬を使用する機会が増加しつつある今日,QT時間調節の生理的,病理的要因について理解しておくことは大切である.QT時間は心拍数によって変動するが,心拍数を変化させる要因によっても修飾を受ける.このため日常使用されるBazettの式によるQTc時間は,実際の心拍数によるQT時間の変化と一致しないことがしばしば見られる.健常例では自律神経によって心拍数に応じた変化をするとともに,夜間に長いという日内変動を示す.糖尿病,心室頻拍,心筋症,特発性QT延長症候群や抗不整脈薬投与などでは,健常例とは異なったQT時間の変動が観察される.QT時間調節の異常の機序の解明により,このような病態での心室性不整脈の治療が進歩することが期待される.
著者
高宮 智正 横山 泰廣 山下 周 白井 康大 鈴木 雅仁 前田 真吾 田中 泰章 佐々木 毅 笹野 哲郎 川端 美穂子 平尾 見三
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.S3_12-S3_16, 2013

症例は33歳, 女性. ほぼ終日持続する心房頻拍 (atrial tachycardia ; AT) に対してカテーテルアブレーションを施行した. 12誘導心電図のP波の形状から心房頻拍は右心耳または三尖弁輪起源と推定された. EnSite Multi-Electrode Array (MEA) カテーテルが三尖弁輪を跨ぐように右室心尖部に向けて留置してAT中に三尖弁輪部のNCMを行い, 自由壁側10時方向に心房頻拍の起源を同定してカテーテルアブレーションに成功した. ATの機序としては心臓電気生理学的検査 (electrophysiological study ; EPS) 所見より異常自動能と考えられた. 三尖弁輪部は中隔側, 自由壁側ともconventional mappingに苦労することがあり, non-contact mapping (NCM) が有用と考えられた.
著者
貝沼 圭吾 三谷 義英 大橋 啓之 淀谷 典子 本間 仁 駒田 美弘
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_86-S2_86, 2011

症例: 心臓震盪は, 小児期から若年成人の競技, 遊戯などに伴って発生する外因性の院外心停止をきたす病態である. 欧米などでは主に球技により発症し, 自動体外式除細動器(AED)を用いた適切な心肺蘇生がなければ, 予後不良とされる. 今回, 本症を経験し, 発症時の映像, AEDファイルの心電図も含めて報告する.<BR>患者は14歳, 男児. 空手歴8年. 空手の試合中, 相手のパンチと膝蹴りが左前胸部に直撃した直後に, 心肺停止をきたした. 2分後に待機していた父親と医師による心肺蘇生, 4分後に3回のAEDによる除細動がなされ, 自己心拍が再開した. 発症13分後に救急搬送された病院で会話が可能であった. 以後, 後遺症なく経過良好であった. AEDファイルの心電図では, 心室細動が確認された. その後の精査により内因性の疾患は除外された. 以上から経過により心臓震盪と診断した.<BR>本症は, AEDを用いた適切な心肺蘇生が重要と考えられ, その対策について考察する.
著者
真鍋 知宏 山澤 文裕
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_198-S2_203, 2011

日本国内では, 1年間に2,000以上の市民マラソン· ロードレースが開催されている. 日頃のランニングやジョギングの成果を発揮しようとして, 全国各地で行われる市民マラソン大会には多くの参加者が集まっている. 市民ランナーに対するメディカルチェックは, 現時点においては十分に行われておらず, 走行中に心肺停止を生じることも稀ではない. また, 救護体制は主催者によってまちまちであり, AEDが適切に配備されたロードレースにおいては, 心肺停止者が救命される事例をマスコミ報道などで知ることができる. 一方で公表されない死亡事例も存在しており, その情報を入手するのも容易ではない. ある程度は, マスコミ報道からの情報収集が可能であるが, 病状などの詳細についてはデータとしてまとめられることはなかった. ロードレース中の安全を確保する観点からは, 個別の事例を検討して, 今後の予防に対して活用することが重要である. 日本陸上競技連盟医事委員会では, 陸連, 地方陸上競技協会が主催, 主管しているロードレースにおいて, その救護体制と傷病者数を把握するシステムを構築しようとしている. 現状と今後の課題について報告する.
著者
森本 美典 角田 裕 藤井昌 麻呂 北村 尚臣 竹沢 英郎
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.403-411, 1981

NYHA III~IV度で入院したうっ血性心不全患者9例( 年齢64~88歳, 男5例, 女4例) にPrazosinを2~4mg経口投与し, 血行動態, 臨床症状の変化を検討した.右房圧, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧はSwan-Ganzカテーテル,心拍出量は熱稀釈法により測定.Prazosin投与後肺動脈楔入圧(p<0.001) , 肺動脈拡張期圧(p<0.01),平均動脈圧(p<0.01),末梢血管抵抗(p<0.01), 肺血管抵抗(p<0.05) は有意に下降減少し, 心係数(p<0.01)は有意に増加した.心拍数,Transmural coronaryflow gradient(拡張期動脈圧-肺動脈楔入圧)は不変であったがDouble product(心拍数×収縮期動脈圧)は減少の傾向を示し, 心筋酸素供給- 需要バランスを保ちながら心機能の改善が得られた.これらの血行動態の変化は投与後約30分でおこり, 効果のピークは60~120分後にみられた.<BR>これら循環動態の改善に伴い心不全症状は9例中7例で約30~60分後に軽減ないしは消失した.以上よりPrazosinはうっ血性心不全に対し有効であると判定することができた.
著者
吉田 奈々絵 山田 容子 平原 大志 和田 浩 菅原 養厚 阿古 潤哉 百村 伸一
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.927-933, 2014

症例は18歳女性. 主訴は失神. 家族歴は兄が18歳で突然死. 現病歴は朝通学中の電車内で立位時に失神し, 次の駅で意識回復し当科に救急搬送となった. 来院時は意識清明. 心電図上, QT間隔は正常だが連結期の短い同形の心室性期外収縮より開始する非持続性多形性心室頻拍の頻発を認めた. 心臓超音波では軽度左室拡大のみで器質的心疾患は認めなかった. 発作時も含めQT延長はなく運動負荷によるQT延長, 多形性心室頻拍も認めなかった. カテコラミン負荷で増悪なく, カテコラミン誘発性多形性心室頻拍およびQT延長症候群は否定的と考えた.  ピルジカイニド負荷で4連の多形性心室頻拍を認めたがベラパミル投与で抑制された. 遺伝子解析ではQT延長症候群, カテコラミン誘発性多形性心室頻拍, Brugada症候群に関連する遺伝子変異は陰性であった. short-coupled variant of torsade de pointesを最も疑い, 家族歴も考慮しICD植え込みを施行後ベラパミルの内服を開始し退院となった. その後は, ICDが作動することなく経過している.
著者
池村 修寛 稲川 浩平 福田 芽森 山田 亘 宮田 宏太郎 田中 宏明 吉田 拓生 池上 幸憲 谷本 耕司郎 布施 淳 坂本 宗久 樅山 幸彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.S2_105-S2_109, 2014

症例は心室細動蘇生後の23歳男性. 生来健康. 従兄弟が32歳で突然死. 駅のホームで倒れているところを発見され, 救急隊要請された. 目撃者なし, bystander CPRなし. AED (Automated External Defibrillator) により, 除細動を2度行われた後に自己心拍再開し, 当院救命センター搬送となった. 心肺停止時間は不明だが最大で1時間程度と考えられた. 全身状態安定後に低体温療法を開始した. 来院時のQT間隔は正常 (QT/QTc : 370/440msec) であったが, 低体温時の心電図で著名なQT延長 (QT/QTc : 720/600msec) を認めた. 復温後にQT間隔は正常化した. 冠動脈造影は異常なく, アセチルコリン負荷試験は陰性, 心エコー, 心臓MRI (magnetic resonance imaging) で器質的心疾患を示唆する明らかな所見は認められなかった. 潜在性QT延長症候群を疑いエピネフリン負荷試験を施行した. 負荷前のQT間隔は正常 (QT/QTc : 440/423msec) であったが, 投与1分後 (Peak state) にQT/QTc : 480/640msecまで延長し, 投与3分後 (Steady state) にはQT/QTc : 440/454msecまで戻った. 潜在性QT延長症候群と診断し, ICD植え込みを行った. 診断にエピネフリン負荷試験が有用であった心室細動蘇生後の潜在性QT延長症候群の1例を経験したので報告する.
著者
田中 宏明 福田 芽森 山田 亘 池村 修寬 宮田 宏太郎 吉田 拓生 稲川 浩平 池上 幸憲 谷本 耕司郎 布施 淳 坂本 宗久 樅山 幸彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.S3_226-S3_231, 2014

DCMの68歳男性. ○年○月にCRT-D植え込み. VT stormに対し, ○+3年○月にアブレーション (心内膜側) を施行. 左室中隔および側壁に低電位領域 (LVA) を認め, ICEでLVA領域に一致して壁内から心外膜側にかけて高輝度領域を認めた. VTはペースマップ (PM) を用いて良好なPM部位でアブレーション施行. アブレーション後再発を認めたが, ATPで停止可能で経過観察していた. ○月○日 (1回目のアブレーションより3カ月後) にVT stormを認め, 緊急入院. ○月○日, アブレーション (心内膜側・心外膜側) を施行した. 前回アブレーションした側壁LVAの心外膜側は正常波高であったが, perfect PM (S-QRS=40ms) およびNSVT時にQRSに先行する拡張期電位 (Egm-QRS=54ms) が得られ, VTのExitと考えられた. 心外膜側および心内膜側にアブレーションを行い, clinical VTは誘発不能となった.
著者
諏訪 賢一郎 俵原 敬 浮海 洋史 尾関 真理子 待井 将志 田村 純 宮島 佳佑 神田 貴弘 安見 和彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.484-489, 2013

症例は62歳, 男性. 発熱にて当院受診. 心電図にてI, II, aVL, V4~6にST上昇を認め, さらに心筋逸脱酵素とCRP上昇を認めた. また心エコーにて心尖部前側壁と中部下壁に壁運動低下が認められた. 緊急心臓カテーテル検査にて前壁, 側壁, 下壁の一部に壁運動低下を認めたものの, 左室駆出率57%であり, 冠動脈に有意狭窄を認めなかった. 以上所見より急性心筋炎と診断. 第4病日の心臓MRIでは, シネMRIにて左室駆出率11%, 全周性高度壁運動低下, T2強調画像black blood像にて左右両室全体に高信号, そして遅延造影MRIにて心尖部寄り側壁の心外膜側を主とした遅延造影を認めた. 同日心筋生検を施行. リンパ球の浸潤を多数認め, リンパ球性心筋炎と診断した. また血行動態破綻のため大動脈バルーンパンピング (intra-aortic balloon pumping ; IABP), 経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) を導入. その後も心機能は悪化し, 大量免疫グロブリン療法, ステロイド短期大量療法を施行するも第9病日に死亡した. 剖検では心筋へリンパ球主体の高度の炎症細胞浸潤, 心筋の凝固壊死, 融解, 変性と間質浮腫を認めた. 初期軽症期から入院し血行動態破綻直前に心臓MRIの撮影ができた劇症型心筋炎の貴重な1例を経験したので報告する.