著者
脇本 景子 岡本 希 西岡 伸紀
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-329, 2019-11-30 (Released:2019-11-30)
参考文献数
21

目的:本研究は,学校給食の残食に関わる要因として,献立内容,栄養量,気温を取りあげ,主食及び牛乳の残食量との関連を明らかにし,これら要因を変数とした残食推計モデルを得ることを目的とした.方法:兵庫県宝塚市の市立小学校12校(喫食者数は約7,000人)の学校給食の記録(2013~2016年度の593日分)を調査対象とした(横断調査).調査内容は,学校給食の残食量,献立,栄養量,気温である.米飯,パン,牛乳の1人当たりの残食量を従属変数とし,気温,提供時期,給食の提供量及び栄養量,ダミー変数に変換した献立の種類を独立変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を行い,関連を検討した.結果:米飯の残食では,気温(.56),炊き込みご飯(-.40),カレー(-.39)等が関連し,調整済み決定係数R2=.62であった.パンの残食では,校内調理パン(-.55),セルフサンド(-.36),気温(.34),加工パン(-.33)等が関連し,R2=.53であった.牛乳の残食では,気温(-.63)が関連し,R2=.39であった.(括弧内 標準化係数β)結論:学校給食の主食の残食は,気温,主食の味付け,喫食方法の工夫と関連していた.牛乳の残食は気温と関連していた.米飯,パン,牛乳の残食量についてそれぞれ約6割,5割,4割の説明力を有する残食推計モデルが得られた.
著者
脇本 景子 西岡 伸紀
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.3-13, 2010 (Released:2011-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

目的:本研究は,児童期の子どもの給食時間における健康行動として,給食を残さず食べる行動(以下給食完食)と,食後のブラッシングをとりあげ,自己効力感に関する質問紙を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること,および行動変容段階との関係を知ることを目的とした.方法:2008年7月兵庫県内6市の公立小学校7校の5,6年生児童880名を対象に質問紙調査を行った.因子分析による項目選定の後,内的整合性,再検査による尺度得点の相関,検証的因子分析における適合度の確認により,尺度の信頼性と構成概念妥当性を検討した.また,尺度得点に関する一元配置の分散分析により,再カテゴリー化した行動変容段階との関係を調べた.結果:因子分析により給食完食6項目,ブラッシング4項目の自己効力感尺度が得られ,クロンバックのα係数は,給食完食が0.81,ブラッシングが0.81であった.再検査による尺度得点の相関係数(Pearsonのr)は,給食完食がr=0.84,ブラッシングがr=0.67(ともにp<0.01)であった.また,検証的因子分析後の適合度指標は,給食完食GFI=0.974,AGFI=0.961,CFI=0.966,RMSEA=0.055,ブラッシングGFI=0.981,AGFI=0.961,CFI=0.976,RMSEA=0.062であった.尺度得点に関する分散分析では,再カテゴリー化した行動変容段階の主効果が認められ(給食完食F(2/846)=155.16,ブラッシングF(2/791)=50.98,p<0.001),段階が後期に移行するにしたがって自己効力感が高くなる傾向が得られた.結論:作成した給食の完食とブラッシング行動に関する自己効力感尺度について,その信頼性と妥当性が確認され,本尺度の使用可能性が示された.また,行動変容段階との関係については,理論に合致した結果が得られた.